かつての団地は、季節ごとに住民の方々によるイベントが多く催され、多くの人々で賑わう場所でした。
昨今はコロナ禍や入居者の高齢化、コミュニティーの希薄化でそのようなイベントも減りつつある中、団地をまた盛り上げていこうと、大阪電気通信大学の建築サークルと香里三井団地自治会、公社が協力してイベントを開催しました。
それは「かまどベンチで焼き芋」を作って食べるという、季節の旬を楽しみながら防災設備に触れられる一石二鳥のイベント。
今回は寝屋川市の香里三井団地で11月19日(土)に開催されたこちらのイベントのレポートを写真たっぷりにお届け。
「団地のイベントってどんな感じ?」「かまどベンチってなに?」という疑問にお答えします!
目次
地元大学の学生さん×団地自治会の皆さんが大活躍
今回イベントに協力してくれているのは大阪電気通信大学建築学科内の有志サークルである「Create For Smile」の学生さんたち。
こちらの大学は開催場所である香里三井団地から3kmほどのところにキャンパスがあるご近所さんです。
団地再生を目的に、お住まいの方の目線で学生さんが発案した「かまどベンチで焼き芋」イベント。
当日も多くの学生さんが来てくださり、準備の段階から大活躍。
そして、これまでの打ち合わせや前イベントで既に学生さんとも馴染みのある、団地自治会の皆さんも準備から協力いただきました。
火を使用するため、消防署の方にもお声がけして、「みんなにおいしい焼き芋を食べてもらおう!」と多くの方が集まり、始まる前から賑やかな雰囲気でした。
被災時の強い味方、かまどベンチとは
今回のもう一つの主役、かまどベンチ。聞き慣れない方も多いかもしれません。
かまどベンチは被災時等に電気やガスが止まっても炊き出しができるように考えられたスーパーベンチ。
ベンチの下が焚口になって座面に鍋を置いて掛口にするタイプや、ベンチがかまどを収納しているタイプといくつか種類があります。
香里三井団地のかまどベンチは収納タイプ。ぱっと見は普通のベンチなのですが、座面をはずすと…
中に簡易のかまどが収納されています!
私も実物を使用する様子を見るのは初めてでしたが、普段皆さんの憩いの場となっているベンチがいざというときに火をおこす道具になるなんて、ちょっとかっこいいですよね。
ただ、かまどがあっても火を起こすのは自分たち。
慣れない炭を使っての火おこしに学生さんも公社職員も苦戦を強いられました。
団地自治会をはじめとした住民の皆さんが追加で着火剤代わりに枝を拾ってきてくださったり、なんとか着火。
皆さんの心が一つになる、そして被災時に備えて防災器具を実際に使うことの大事さが身に染みる瞬間でした。
この間もたくさんの住民さんが来てくださり、
「気長に待つね~応援してるね~」とかまどの様子を見ながらご近所さんとの話に花を咲かせる方や、
小学生の男の子たちと遊んであげるおじちゃんやおばちゃん、
小さいお子さんのいるご家庭同士で「久しぶりやな~!」と声を掛け合って
「ちょっと一緒に公園に行ってきて帰りにまた寄りますね」とホクホクのお芋を楽しみに出かけられる方もいらっしゃいました。
完成!炭火焼きのほくほくお芋に笑顔いっぱい
着火に苦戦しつつも、焼き芋の第一陣が完成!
団地自治会の方々はお芋を焼く作業をしながらも、「待ってた人や子どもさんから渡したって~!」「あとどんだけおる~?」と来てくれていた住民さんに気を配ります。
学生さんも「あっちの方聞いてきますね!」とよく動いてくださり、「あんたよう動いてえらいわ~!」と団地自治会メンバーさんに褒められていて、忙しいながらもまるで家族のようなあたたかい雰囲気でした。
待ってました。焼き立てお芋!
お母さんは学生さんの作った今後の企画のためのアンケートに答えてくれています。参考にさせていただきます!
「全部食べられそうですか?」と聞くと、お母さんが笑顔で「この子はお芋すっごい好きなのでこのくらいならぺろっとです」
小さい体で元気いっぱいだった女の子、写真用のポージングもばっちりです。
広場のすぐ隣の集会所の中をのぞいてみると、おじちゃんおばちゃんたちとボードゲームや将棋で遊んでいた男の子が、熱そうな顔をしながらも「(熱さは)大丈夫!めっちゃおいしい!」と言ってくれました。
ゲーム類は待っている間も楽しく交流ができるようにという学生さんの提案です。
ちっちゃいお友達同士で公園に出かけたあとに再度寄ってくださり、遊んだ分のエネルギーを補給。
学生さんや団地自治会の方は自分の分も後回しにどんどん焼いてくださって、なんと大盛況のうちに10kg分全て配り切りました。
自宅でのおいしい焼き芋の作り方を教える主婦の方や、「久しぶりに見たらえっらい大きくなったねぇ」「最近どうしてんの?」とご近所の子どもさんやお友達に声を掛け合う様子がたくさん見られて、2時間だけではありますが、活気のあるイベントとなり、地域の関係性が深まっていく様子を感じられました。
参加して下さった方々にとっても良い思い出や交流のきっかけ、楽しい一日となっていたように思います。
今後も幅広い世代の方々がつながりを持ち、共に暮らす地域社会を目指して貢献していきます。
大阪電気通信大学と香里三井団地自治会のみなさん、そしてあたたかく見守ってくれた参加者の皆さん、ありがとうございました!