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by マッキー

団地の一室に、みんながゾロゾロ… 話題の「杉本町みんな食堂」へ行ってみた

大阪市と堺市を隔てる大和川の川縁に佇む「OPH杉本町(大阪市住吉区)」。
1棟建ての建物の1室に団地の垣根を越えて地域に愛される食堂があるのをご存じでしょうか?
ある日のお昼に現地に足を運んでみると、そこには食堂にかかわる人たちの優しさがあふれ、緩やかな時間が流れていました。

今回はそんな「杉本町みんな食堂」のとある1日をご紹介します。

なぜ団地に食堂を?

この写真を見てそこに食堂があるとは思わないですよね。おそらく大抵の方がイメージする食堂のイメージは違うんじゃないでしょうか?
一見普通のマンションの中にある、杉本町みんな食堂。

まずは、なぜここにみんなが集まる食堂ができたのかお話ししましょう。

元々あった団地が建替えられて今のマンションの形になったのが2007年のこと。
今年で16年目を迎える、こちらの団地。
住戸の約半数が高齢者向けということもあって団地の高齢化が年々進み、社会問題ともなっている単身高齢化の孤独死や孤食がここでも起きていました。

そこに課題を感じていた公社と、同じく障がい者支援やコミュニティー支援等を行うNPO法人チュラキューブが連携し、障がい者や高齢者、空家等の社会課題の解決と孤食支援をつなげた仕組みのモデル事業として、空家を改修し、コミュニティー活性化を目的とした食堂が2018年にオープンしたのです。

オープン前から大忙し!

食堂の開店時間は12時〜14時。
私たち
はオープン30分前にお伺いしたのですが、スタッフの皆さんがその日の定食の準備と事前予約されたお弁当の準備に追われていました。

最近は1回のオープン日で平均30食もの注文があるそうです!ここでスタッフとして働かれているのは、障がいを持つ方々です。
一人ひとりがそれぞれの得意を生かしながら、自分にできる役割を担い活躍しています。
ある方は配膳を担い、ある方は調理を担当し、ある方は料金の受け渡しを行うなど、ONETEAMで全員が素晴らしいチームワークを見せています。
そうこうしていると、「ピンポーン!」とインターホンが鳴ります。
もう既にお客さんが外でスタンバイしていたようで、スタッフの方が「オープンまでもう少しお待ちくださいー」と声掛けしています。

以前にはオープン前でも入って待ってもらっていたことがあったようですが、スタッフが焦ってしまいミスにつながる可能性があるので、時間厳守を心掛けているそうです。
また、この場所に足を運んで来られる方もそのことを十分に理解しています。
だからこそ、待っている時間も苦にならず、クレームにつながることもありません。

大方の準備ができた頃、ちょうど時計の針が12時をまわり、「いらっしゃいませー!」という元気な掛け声とともに数組のお客さんが入ってこられました。

「今日のご飯は何かなー?」
「楽しみにしてきたよ!」
それぞれが笑顔で席へと着いていきます。
そして自然と
「あら、久しぶりやん!」
「元気そうで何よりやわー」
とお互いを気遣う言葉が飛び交います。

みんな食堂を介してコミュニティーが醸成されている一場面が垣間見れました。

みんな食堂に通う理由

みんな食堂には、オープンから足しげく通っておられる常連の方々がいます。
2018年からスタートして4年目を迎えますが、中にはずっとオープン日である月、水、金の3日間欠かさず通う方もいるとか。
すごすぎます!

一体、みんな食堂のどんなところに惹かれたのでしょうか?
理由を伺うと、こんなお返事が返ってきました。
「この取り組みが始まった時、とても素晴らしいと感じた」
「たとえハンディがあったとしても自分が活躍できる場所があり、実際にそこで頑張っているスタッフの人たちを自分ができる形で応援したい! と思った」…など。
そんな温かな気持ちから、毎回欠かさず通っているそうです。
最初は団地にお住まいの方が中心だったみんな食堂ですが、時間と共にその評判は口コミでどんどん広がっていったそう。
「今では公立大学法人大阪の先生方や近隣の高校生も来てくれますよ!」と、NPO法人チュラキューブの主宰者の方もにっこり。

この場所のゆったりと流れる時間は、関わる全ての人が互いを思いやる温かな気持ちがそうさせているんだということを実感し、取材を行う私たちもほっこりとした気持ちになりました。

居心地のいい場所では誰もが時間を忘れて過ごしてしまうもの。
次に来る人のために席を譲らないといけないのはわかるけど、もう少しゆっくり過ごせたらいいな。
そんな声が聞かれ始めたのも自然な流れだったのかもしれません。

その声に応える形でこの1月に誕生したのが、毎週金曜日の12時〜15時に開かれる「みんなカフェ」。
食後にゆっくり過ごせる場所としてオープンしました。
少しだけのぞいてみると、中から楽しそうな話し声や笑い声が聞こえてきます。
この日のおやつだったコーヒーゼリーに舌鼓を打ちながら、ほっとする、ゆったりとした時間を満喫している様子。

全ての取材を終えた後、私たちもお昼をいただいたのですが、その美味しさにびっくり!優しい味付けで素材の味が引き立っています。
この日のメニューだった麻婆豆腐は、山椒の風味が食欲を駆り立てつつも、辛すぎず量も程よくて色んな年代層にピッタリの “やさしいごはん” でした。

こうしてここに関わる全ての人の思いやりと美味しい食事に大満足になりながらその日の取材を終えることができました。

みんなの優しさが集まる憩いの場所、杉本町みんな食堂。
お近くにお越しの際は、ぜひご賞味あれ!

~「杉本町みんな食堂」とは?~
場所:⼤阪市住吉区遠⾥⼩野3丁⽬10-11 OPH杉本町102号室  (カフェ:集会所)
営業日時:毎週月・水・金 12~14時 (カフェ:毎週金 12~15時)
アクセス:JR阪和線「杉本町」駅 徒歩約5分
※営業状況はフェイスブック(@100057441489312)でご確認ください。