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life
by ちゅう吉

結露に悩まない、冬の団地暮らしと節電対策 ~前編~

この冬は暖冬とは言われるものの、続く物価上昇もあり、できれば水道光熱費を抑えて、少しでも快適に暮らしたいものですよね。
しかも、“熱” を発生させるものは消費電力(電気代)がかかるので、意外と夏よりも冬の方が、電気代が高くなる傾向にあるそうなんです。

そこで今回は、うちエコ診断士の村上なつきさんにご協力いただき、冬の団地暮らしの節電対策と、節電とつながりの深い『結露とカビ』対策についても併せてご紹介します。

前回、夏の節電対策の紹介記事はこちら。
▼ 団地暮らしの節電対策:快適に楽しく電気代を節約しよう! ~前編~
▼ 団地暮らしの節電対策:快適に楽しく電気代を節約しよう! ~後編~

子育て世帯こそ、節水タイプのシャワーヘッドがオススメ!

今回、取材にご協力いただいたSさん宅は2歳の娘さんのいる3人世帯。
まだ小さな娘さんは湯船に入るのが苦手です。
冬の冷たい浴室。子どもの体を少しでも温めるため、どうしてもシャワーを使う時間が長くなってしまい、家族全員でシャワーを使っている合計時間は1日あたり約90分なんだそう。

シャワーを1分間出し続けた水量は約12L。シャワーを10分出し続けると12L×10分間=120Lとなり、団地の浴槽だと湯舟一杯ほどに。水道代だけでなくガス代も結構かかってきます。

そこで、村上さんからシャワーヘッドを節水タイプに交換することをアドバイス。

しかし、微妙な反応のSさん夫婦。
と言うのも、以前のお住まいで、5000円ほどの節水シャワーヘッドを使用していたことがあるそう。
でも、残念ながら、水圧が微妙になっただけで、節水効果は感じられなかったそうなんです。
ちなみに、その節水シャワーヘッドは、手元で水を止めることができ、ヘッド部分が大きくて約30%の節水ができるというものだったそう。

シャワー使用時間90分で計算した結果が、上記のうちエコ診断の結果になっています。
(表中にある機器100円はあくまで参考です。気にしないでください)
節水タイプのシャワーヘッドに交換すると、水道光熱費が年間で12,200円お得になるということを示しています。

村上さんオススメの節水シャワーヘッドは、水量は減るけど水圧は変わらない性能のもの。
節水シャワーヘッドは価格も性能レベルもさまざまですが、大体1万円くらいのものだと、ちゃんと効果を感じられるそう。
年間で考えると、シャワーヘッドを節水タイプに交換することで、水道光熱費がシャワーヘッドの価格以上にお得になれば、元が取れますね。

但し、集合住宅によっては水圧等の仕様にバラつきがあるので、まれに1万円のシャワーヘッドにしたにも関わらず効果がみられない場合もあるそう。その場合は悪しからずご了承ください。

ぜひ、ご自宅に合った節水シャワーヘッドを吟味して選んでみてくださいね。

【注】スマリオの団地では、シャワーヘッドは退去時に原状復帰が必要です。入居時のシャワーヘッドを退去時まで保管しておいてください。

こぶし1個分だけ扉を開けて、浴室周りのカビを予防する

築古団地の浴室には換気扇がなく、浴室の赤カビ&黒カビも団地暮らしの悩みあるあるですよね。
浴室の窓には網戸がなく、窓を開けると虫が入ってくるので、浴室の換気が難しいところ。

もしや、お風呂上り、浴室扉を全開にしていませんか?
扉を全て開けてしまうと、熱気が脱衣所に逃げて、脱衣所もカビる原因になってしまうそう。

浴室の扉を常にこぶし1個分開けておくことで、熱気がこもりにくく、湿気を逃がしやすくすることができるんです。

この、こぶし1個分がポイント!これ以上だと脱衣所がカビやすく、これ以下だと浴室がカビやすくなってしまうんだとか。

浴室扉にペットボトルを挟んでおくと、こぶし1個分の、ちょうどいい感じのストッパーになるそうです。

また、こぶし1個分で、浴室と脱衣所の温度が均一になりやすく、浴室のヒンヤリ感を和らげることにもつながります。
さらに、浴室の窓に内側からプチプチを貼ると、より浴室のヒンヤリを和らげることができますよ。

暖房器具は窓辺に置く

数ある暖房器具の中でも、部屋を一番早く暖めるのは『ガスファンヒーター』なんだそう。

「暖房器具は窓辺に置くと、冷気を背に受けて、その冷気を暖めて室内に送り出すことになるので、効率よく室内を暖めることができますよ」と村上さん。
また、暖かい空気は部屋の上部に滞留してしまうので、冬場でも扇風機やサーキュレーターを上部に向けて使用すると、同じ体感でも設定温度を1℃下げることができ、より効率よく室内が暖まるそうです。

そして、暖房器具のフィルターは、少なくとも2週間に1度は掃除をしましょう。
掃除することで、電気代の節約にもつながりますよ。

暖房器具は15℃設定から始めて、効率よく部屋を暖める

村上さん宅(ご夫婦2人暮らし)では、ひと月あたりの冬の光熱費は、電気代約2000円&ガス代約6000円だそう!ずいぶんと抑えられた光熱費ですよね。

なぜ、そんなにも電気代&ガス代が安いのか、節約のコツを聞いてみました。
「電気代やガス代を抑えながら部屋を効率よく暖めるには、ガスファンヒーターを使用し、温度設定を15℃から開始すること。しばらく経っても暖かくならない場合は、一気に設定温度を上げるのではなく、1℃ずつ温度を上げてみるといいですよ」と村上さん。

村上さん宅では、冷気対策として、全ての窓にプチプチを貼っているそうです。

ガスファンヒーターと加湿器の併用はカビのもと

実は、ガスファンヒーターを使用している時に加湿器を使用するのはNG!なんです。
ガスファンヒーターは使用時に水蒸気が発生するので、過度な加湿になってしまいます。

湿度は40~60%が最適。60%を超えるとカビやダニが発生するもとになってしまうんです。
過度な加湿はアトピーやぜんそくなど、アレルギーのもとになってしまうことも。
温度と湿度を適度に保つために、温湿度計を利用してみてくださいね。

そして、加湿器も熱を発生させるタイプかどうかで、消費電力が大きく異なります。
電気代がかからないのは『ハイブリット加湿器』もしくは『超音波式加湿器』なんだそう。

「しかし、電気代はエコなものの、『超音波式加湿器』は水がカビやすいというデメリットもあります。気管支炎やアトピーの疾患がある場合、エアコン暖房は乾燥するので、スチーム式加湿器と一緒に使用するのがオススメですね」と村上さん。

ご家庭の事情に合わせて、加湿器を選ぶようにしてください。

団地の断熱は『玄関』がポイント

玄関扉に付いているポスト、冷気が室内に入ってくるもとになっています。

玄関ポストの穴を覆うだけでも、寒さ対策になります。断熱材にこだわる必要はなく、段ボールでも構いません。
内扉をプラ板(プラスチック板)などでDIYすると、冷気をシャットアウトすることが可能です。
内扉に比べると効果はかなり落ちるものの、カーテンを設置したり、パーテーションを置くだけでも断熱効果が違ってきます。冷気は下からくるので、下部に隙間のないものを選びましょう。

寝る時は暖房器具のスイッチを切って、結露を防ぐ

結露は室内と外気の温度差が大きいと生じてしまうもの。
結露の悩みは団地あるある…しかし、Sさん宅では結露が発生したことがないそう。

実は、結露に悩むご家庭によくあるのが『就寝時に暖房器具をつけっぱなし』にしていることなんだそう。

寝る時は暖房器具のスイッチを切ることで、結露の発生を抑えることができますよ。起きている時の暖房器具の温度設定が高すぎたり、暖房器具をつけたままの状態で寝てしまうと結露が発生します」と村上さん。

就寝時は、暖かい布団カバーを用いるなど、軽くて暖かな寝具を選びましょう。
特に、布団は上部より下部に重点を置き、敷物を暖かくするといいそうです。
しかし、電気敷き毛布は乾燥につながる上にエコでもないので、注意してください。

自然素材の暖かいアンダーウェアも併用して、暖房器具に頼らない暖かな就寝環境づくりを心掛け、結露を防げるといいですよね。

 

引き続き、後編でも、団地暮らしに役立つ節電対策をご紹介しています。
▼ 結露に悩まない、冬の団地暮らしと節電対策 ~後編~ はこちら

PROFILE村上なつき
うちエコ診断士
1990年代、ロサンゼルス生活で欠陥商品や有害食品から身を守るための消費者運動、コンシューマリズムに出会う。
帰国後、消費生活アドバイザーとして各種講座を担当。
その中で “省エネに関心はあるがよくわからない” との声を聴くように。
くらしのちょっとした工夫が省エネにつながることを皆さんと共有し、誰もが楽しく取り組めるよう各地でわかりやすく伝えている。