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by ちゅう吉

団地暮らしの節電対策:快適に楽しく電気代を節約しよう! ~前編~

暑い日が続くとエアコンや冷蔵庫などの家電の使用量が増えるため、電気代も気になるところ。
じわじわと高騰する物価とインフレに直面している状況下、少しでも家計の改善方法を模索している方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「うちエコ診断士」である村上なつきさんにご協力いただき、夏の節電対策について、いくつかの有効な方法をご紹介します。

団地暮らしの節電の悩み

今回、取材にご協力いただいたNさん宅は就学前のお子様2人とご夫婦の4人世帯。


5階建て団地の4階にお住まいです。
最上階ではないものの、団地の日当たりの良さは、午後になると輻射熱で建物全体が蒸し暑くなったように感じられ、壁を触ると熱いと感じるほどなのだとか。

以前はハイツタイプの民間の賃貸住宅にお住まいだったそうですが、団地に引っ越してきて、お部屋も以前より広くなったものの、電気代が以前に比べてやや高くなったように感じているそう。

今回は、そんなNさんの節電のお悩みについて、うちエコ診断士の村上さんが環境省の「うちエコ診断」に基づきアドバイス。

まずは、うちエコ診断に関する質問項目に沿って回答を入力していったところ、4人世帯のご家庭が100世帯あったとした場合のNさん宅の節電ランクは58位。平均的なご家庭という結果に。


ここから、どうすれば電気代を少しでも安く抑えることができるのか、具体的に見ていきましょう。

エアコンの効果的な節電方法

エアコンは夏の暑さをしのぐ頼もしい家電。
エアコンを効果的に使って、健康的に暑さを乗り切りましょう。


快適な室温を保ちつつ、エコにも配慮するならば、できるだけエアコンは28℃前後に抑えることが好ましいそう。
「温度設定を1℃変えるだけで、電気代が10%変わってきます。さらに、できるだけ家族で一つの部屋で過ごすようにして、その部屋だけエアコンを効かせるようにすると、エアコンを2部屋で稼働させるよりも30%くらい電気代を削減することができますよ」と村上さん。

エアコンの風量などの使い方についても、村上さんが大切なポイントを教えてくれました。
「弱にしておくのはオススメしません、自動が一番省エネです。エアコンをつけたり消したりすると、かえって電気代は高くつきます。ひと昔前は1時間以上留守にする場合はエアコンを消しましょうと言っていましたが、最新型のエアコンの場合、30分以内の外出ならつけたままでもいいですよ」。

また、除湿と冷房の使い分けに困っている方もいるかもしれませんね。
その場合、除湿は部屋の温度が低いにもかかわらず湿度が高い場合に使用すると良い機能なので、温湿度計を見て判断しましょう。

エアコンの機能は、基本は冷房使用で、上記に当てはまる場合のみ除湿機能を使用してください。

エアコンの効きをよく保つためには、フィルター掃除をマメに行うこともお忘れなく。

でかける場合のエアコンの効果的な使い方

「でかける際、家を出る直前にエアコンを切っていませんか?」と村上さん。


じつは、でかける直前までエアコンをつけておくのではなく、でかける30分前にエアコンを切るのがオススメなんだとか。

そして、外出先から帰宅したら室内が蒸し暑くても、すぐにエアコンをつけないでくださいね!

帰宅後、まずは窓を開けて、外に向けてサーキュレーターや扇風機をつけ、室内の熱い空気を外に出すようにしましょう。
蒸し暑い室内の空気を外に出してからエアコンをつけることで、エアコンの効きが格段に良くなりますよ。

さらに、でかける際はカーテンを閉めておくことで、室内温度の上昇を抑えることが可能になるそう。

しかし、エアコンの使い方には個人の好みがありますよね。
帰宅時に室内が蒸し暑いのがちょっと‥ずっとつけたままにしておくのが好みの方には、普段より1℃設定温度を上げた状態にしてから、おでかけするのがオススメだそうです。

団地あるある『ウインドエアコン』の効果的な使い方

一般的に、家庭用エアコンというと、横長タイプのものを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、ベランダに面していない団地の部屋の場合は、室外機を置く場所がないため、横長タイプの一般的なエアコンを設置することができません。
そんな場合に設置可能なエアコンが縦型の『ウインドエアコン』。
団地暮らしの救世主的な存在のエアコンです。


Nさん宅でも、旦那様の部屋にはウインドエアコンを設置されているものの、エアコンの効きが悪いと感じているそう。

午後になると団地の壁自体が触れると熱を持ったように暑く感じ、リビングの通常のエアコンは26℃設定にしているものの、旦那様の部屋は23℃くらいまで下げないと涼しさを感じられないことも。


「そんな時は、サーキュレーターや扇風機を併用するのがオススメです」と村上さん。

体に風が当たると同じ室温でも体感が涼しく感じるので、サーキュレーターや扇風機を併用して、体に風が当たるようにしてみてください。
サーキュレーターは室内の風をかき混ぜるもの、扇風機は体に涼しい風を当てるものと、一応、両者には使用用途に違いがありますが、風を生かして効果的に体感温度を下げてみてくださいね。

室外機はアルミで遮熱対策

エアコン効果を高めるには、室外機の遮熱対策も大切なポイントです。


Nさん宅の室外機は南側のベランダにあり、直射日光にさらされている状態。
囲いやすだれといった日よけ対策は何もしていません。

ここでも、村上さんからのアドバイスが。
「室外機に直接日差しがあたらないようにすることが大切です。日差しを遮る市販のアルミパネルを室外機の上にのせると効果的ですよ。自分で木板にアルミ箔を巻いてアルミパネルをDIYするのもオススメです」。


ウッド調の室外機カバーなどもありますが、直射日光を遮ることができれば、アルミパネルでなくてもよいのでしょうか?

「 “アルミ” が日差しを反射するのでいいですよ。木やブルーシートなどの他の材質だと、日差しを反射しないだけでなく、かえって熱がこもるかもしれないので、あまりおススメできません。そして、観葉植物など、水がかかる可能性があるものは室外機の故障につながるかもしれないので、室外機の上に置かないようにしてくださいね」と村上さん。

さらに、アルミパネルは室外機の上部にピッタリサイズではなく、ちょっと大きめの、ひさしになるサイズにすることもポイントなんだそう。
アルミパネルを設置する際には、室外機の送風を妨げないようにも注意しましょう。

室内の温度調節に役立つカーテン&すだれ

エアコンの電気代を抑えるためには、外気と触れる窓もポイントに。
窓の遮熱対策が、冷房の効きの良さにつながるんです。

築年数が古いと、サッシの取り換えやガラスを二重にすることで遮熱効果が得られやすいのですが、賃貸住宅では難しいところ。


そこで、手軽に賃貸でもできる遮熱対策としては、カーテンを設置するといいそう。
「遮光カーテンよりも『遮熱カーテン』がオススメです。カーテンはレースのカーテンと二重に設置することで、より効果が高まります。遮熱効果のためにはカーテンは下まで垂らしましょう。たるむくらいに長い方がいいですよ」と村上さん。


特に東向き&西向きのお部屋は、カーテンを設置するのがオススメです。
日当たりと聞くと南向きのお部屋をイメージするかもしれませんが、南から室内への日差しは浅く、朝日の入る東と西日の入る西は、角度的に室内までしっかりと日が入ってくるので、遮熱が効果的です。

カーテン設置に抵抗がある方は、スクリーン的な『ハニカム・サーモスクリーン』を使用してみるといいそう。
ハニカム構造による空気の層で、遮熱・保温効果が期待できるのだとか。


さらに、夏場に見かける “すだれ” の効果についても、村上さんに聞いてみました。
「遮熱は中からより、外からの方が圧倒的に効果的なので、すだれを外に設置するのはオススメです。すだれを真っすぐ垂らすのではなく、窓枠の上部分からベランダの手すりにかけてシェードとして斜めになるように設置して、ベランダの床が熱くならないようにしましょう。ベランダの床からの熱気で室内が熱くなっているんですよ」。

すだれは見た目も涼しげながら、目隠し効果を狙ったものだとばかり思っていましたが、遮熱による室内の温度調節に効果的なんですね。

団地暮らしの節電対策、まだまだ続きます。
▼ 後編はこちら

PROFILE村上なつき
うちエコ診断士
1990年代、ロサンゼルス生活で欠陥商品や有害食品から身を守るための消費者運動、コンシューマリズムに出会う。
帰国後、消費生活アドバイザーとして各種講座を担当。
その中で “省エネに関心はあるがよくわからない” との声を聴くように。
くらしのちょっとした工夫が省エネにつながることを皆さんと共有し、誰もが楽しく取り組めるよう各地でわかりやすく伝えている。