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by ちゅう吉

団地暮らしの節電対策:快適に楽しく電気代を節約しよう! ~後編~

うちエコ診断士の村上なつきさんにご協力いただき、エアコンに関する夏の節電対策についてご紹介した前編に引き続き、後編でも、団地暮らしに役立つ節電対策をご紹介します。
▼ 前編はこちら


冷蔵庫の効率的な節電対策

冷蔵庫の機種によって異なるものの、放熱しやすいように、できれば、冷蔵庫の横・奥・上部は 10 ㎝以上空間を空けるようにしましょう。

団地の限られた空間の都合上、どうしても上部に物を置きたい場合は、スノコなどを置いて 10 ㎝以上隙間を空けた上で物を置くようにしてください。
そして、プリントなどを冷蔵庫のドアや側面に貼らないようにするのも、節電に効果的です。

冷蔵庫内の節電対策についても、村上さんに聞いてみました。

「冷蔵庫内にビニールのカーテンを取り付けないでください!ビニールのカーテンを設置すると、ドアポケットのものが傷みやすくなります。また、冷蔵庫の中のものを探す際、ビニールのカーテンが邪魔になることで、冷蔵庫内のものを探すのに時間がかかってしまい、結果的に電力を使うことになってしまいがちなんですよ」と村上さん。

ビニールカーテンをしているご家庭では、冷蔵庫内に冷気が回らず、ドアポケットのマヨネーズなどが傷む傾向にあるそう。


そして、冷蔵庫の中身は詰め込みすぎずに、容量の 8 割程度にしましょう。
できるだけ奥に物を置かないようにして、冷気の出る送風口の前はスぺ―スを空けるようにしてください。

冷蔵庫の開閉時間をできるだけ減らす工夫をしましょう。
例えば、朝食に使用するものは一つのトレーにまとめて入れておき、朝はそれだけ取り出せばいいような状態にしておくのが理想的です。

冷気は下に下がるので、傷みやすい生ものの “肉” などは下の段に、傷みにくいものは上の段に入れるといいですよ。

また、冷蔵庫は大きいほど電気代がかかると思っていませんか?
実は、冷蔵庫で各メーカーが省エネに力を入れているのは『400~550ℓ』の家族向けサイズ。
そのため、2 人世帯でもファミリーサイズを購入したほうが省エネになることも多いそう。
小さければ小さい方が省エネかというとそういったものでもないんですね。

冷凍庫の賢い節電ポイント

「冷凍庫は物がツメツメに詰まっている状態がいいんです」と村上さん。
それぞれが保冷剤となり、相乗効果で保冷効果が高まるそう。

ブックスタンドや収納ケースを使って、見やすく立てて収納しましょう。
しきりとして紙袋を使用するのは、冷凍までに時間がかるため、オススメできないそうです。

肉は買ってきた発泡スチロールのトレーのままだと断熱されて急速冷凍できないので、トレーをはずして食品用ラップで包み、その上からさらにアルミホイルで包んで、中身がわかるようにマジックでいつ何を買ったかを書いておくといいですよ。
食品用ラップで包んだものをアルミトレーに乗せて冷凍すると、食品の質の低下を防ぐ「急速冷凍」ができるのでオススメです。

ここで、村上さんの生活の知恵を教えていただきました。
ご飯を冷凍する場合は、電子レンジでムラなく解凍・温めできるように、平らに薄く&丸くパテのようにして保存するといいそうですよ。

テレビは省エネモードを賢く使う

村上さんが家電量販店の店員さんと話をしたところによると「迫力ある大きな画面で見たい、綺麗な画像で見たい」と、テレビについては節電よりも質で選びたい方が多い傾向にあるそう。


しかし、テレビは画素数が高いほど電気代がかかります。4K や8K だと画像は綺麗ですが、その分、電気代もかかってきているんです。

節電のためには消費電力で選ぶといいものの、それ以外の要素を重視して選ぶ場合は、できるだけ最新の省エネモードのあるものを選ぶといいそう。

最近のテレビについている省エネモードは、部屋の明るさによって画面の明るさを自動調整する機能や、一定時間操作がなければ自然と電源が切れる機能、人感センサーで画面のオンオフができる機能など、色々と節電に適切な機能があります。

画質・音質・画面の大きさ・価格など、ご家庭によりテレビに求める優先順位は異なってくると思いますが、テレビは年中を通して使用頻度の高いものなので、商品選択の際には「省エネモード」も意識してみてはいかがでしょうか。

PC の節電対策にはスリープ機能

「立ち上げに電力を使うので、スリープ機能を使うのがオススメです。1 時間半以上使わないようであれば、電源を切りましょう」と村上さん。

村上さん自身、市場調査を兼ねて家電量販店に行かれることも多いものの、残念ながら、家電量販店の販売員さんの中には省エネの最新情報に詳しくない方もいるそうです。

そのため、家電購入の際は、家電量販店の販売員さんの説明に頼るよりも、あらかじめ、ご自身で消費電力をメーカーHP で確認した上で選ぶといいでしょう。

「節電タップ」を使って、子どもと一緒に楽しく節電

家電製品は使用していなくても、コンセントに接続しているだけで『待機電力』が生じ、電気代がかかっています。
家電製品をコンセントから抜かなくても、「節電タップ」のスイッチをオフに切り替えることで、コンセントを抜いているのと同じ状態にでき、待機電力にかかる電気を節電できるんです。


村上さんによると、節電タップはオンオフがスイッチの光でわかりやすいため、小さな子どもでも自然に電気を消す習慣がつきやすいそう。
ぜひ、「節電タップ」を使って、子どもと一緒に楽しく節電しましょう。

しかし、ブルーレイや DVD など、時計機能が内蔵されている家電製品には、節電タップは使用しないように気を付けてください。

「時計が内蔵されていない家電製品については、都度、線を抜いていると断線する危険性が高まるので、節電タップの使用をオススメしています。うちでは、台所にある全ての家電製品に節電タップをつけていますよ。節電タップの使用は家族の節電の意識付けにオススメの方法です!」と村上さん。

村上さんのご家庭では、6 月の電気代が 1800 円だったとか。普段から色々な節電を心掛けている賜物とはいえ、節電タップの効果も大きいのかもしれませんね。

ただし、最新の家電製品は待機電力がかからないものも増えているので、節電タップが必要ない場合もあります。
各ご家庭の状況に合わせて判断してみてください。

また、電気の使用量が見える「ワットチェッカー(エコチェッカー)」もオススメ。
どれだけ電気を使っているかが数値としてわかりやすいので、お子様のいる家庭には効果テキメンなんだそう。
ホームセンタ―などで 1000 円台から購入可能です。
夏休みの自由研究など、ご家庭での SDGS の学習にも役立ちますね。

家電製品は 10 年超使ったら、買い換えを考えてみる

故障していなくても、家電製品は使用開始から 10 年を超えたら、日頃から次の購入候補を考えておきましょう。
昔の家電の方が節電で優れているというケースは、村上さんの知る限りないそうですよ。


冷蔵庫が壊れる日は、ある日突然来ます。
その時に吟味する余裕はないかも。
その時に慌てず、良い買い物ができるように、日頃から次の購入製品の目途をつけておくのが大切です。

冷蔵庫は毎日ずっと電気代がかかっているものなので、省エネ効果が出やすく、村上さんのケースだと、15 年使用していた冷蔵庫を買い換えて電気代が月額 1000 円も安くなったそう。

そして、家電製品を選ぶ際には「省エネラベル」に記載の省エネ性能を参考にするのがオススメです。

家電量販店のチラシに掲載の特売家電には、そもそも省エネラベル自体がついていなかったり、省エネラベルがついていても省エネ性能が低いものが多くみられるそう。
そうした場合、購入時の価格を抑えることができても、その後の生活の中でかかる電気代が高くついてしまうかも。

一方で、省エネ性能に優れた家電製品は、購入時に出費が高く感じられるかもしれませんが、その後の生活にかかかる電気代を考慮すると、特売家電を購入するよりもトータルではオトクになるかもしれませんよ。

購入価格だけで判断するのではなく、電気代なども含めて考え、しっかりと検討しておきましょう。

ここでも村上さんからアドバイスが。
家電買換の比較検討には、環境省の WEB サイト「しんきゅうさん」が、今ある家電製品とこれから買う家電製品の電気代の違いを比較してくれるのでオススメなんだそう。

▼省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」(外部サイト)
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/

いざという時に慌てないよう、日頃から家電製品の情報収集を心掛けてみてください。

電力会社の乗り換えは、社会情勢に応じて見直す

電気代の節電のために電力会社の乗り換えを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、どこがいいのかわかりにくいですよね。
電気代節約のための「電力会社の選び方」についても、村上さんに聞いてみました。

「一時、新電力会社が注目されましたが、今は燃料調整額がとても値上がりしているので、関西電力の従量電灯 A・B が一番安いです(2023 年 7 月現在)。理由は、従量電灯 A・B の契約には燃料調整額の上限が設けられているからなんです。しかし、関西電力でも電気とガスが一緒になっている『なっとくプラン』は燃料調整額の上限に規定がなく除外されています。オール電化のお宅の場合は、深夜電力割引などがあるので一概には言えませんが、ご自身でプランを確認してみてくださいね」と村上さん。

ひと昔の情報に惑わされず、電力会社の乗り換えには違約金がかかったりしないので、面倒臭がらずに見直ししてみましょう。

火力発電に使用される「石炭・石油・天然ガス」といったエネルギー資源。
日本は、エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っているため、世界情勢は私たちの電気代に密接に関連しています。
近年では、ウクライナとロシアの戦争などにより、エネルギー資源の輸入が難しくなってきていますね。

日頃から世界情勢に注目し、その都度エネルギー資源へ及ぼす影響についても考え、電力会社や電力プランを見直してみるといいそうですよ。

 

いかがでしたか?


今回、うちエコ診断士の村上さんと一緒に、N さんご家族にできそうな節電アドバイスを色々いただいたところ、アドバイスを実行したと仮定した結果が 25 位まで順位上昇。

やはり、日々の小さな節電の積み重ねが、ちりも積もって結果につながっていくのですね。

節電がストレスにならない範囲で、家族全員で同じ方向をみて、楽しく節電に取り組んでみてください。

PROFILE村上なつき
うちエコ診断士
1990年代、ロサンゼルス生活で欠陥商品や有害食品から身を守るための消費者運動、コンシューマリズムに出会う。
帰国後、消費生活アドバイザーとして各種講座を担当。
その中で “省エネに関心はあるがよくわからない” との声を聴くように。
くらしのちょっとした工夫が省エネにつながることを皆さんと共有し、誰もが楽しく取り組めるよう各地でわかりやすく伝えている。