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by コマチ

昭和の団地が再ブーム!? ~団地愛好家に聞く、団地の魅力~

昭和に建てられ、築年数が経過した「団地」。
最近では団地再生の機運が高まり、コミュニティ形成活動や住戸リノベーションなど、ソフト面・ハード面の双方で再生事業に取り組む団地が増えました。
また、「昭和レトロ」ブームであることもあって団地がドラマの舞台になったり、近年の物価高の中でも比較的リーズナブルに住める点で注目されたり、団地は度々話題になっています。
このように、団地は今アツい住宅なのです。

今回は、そんな団地をこよなく愛する団地愛好家の一人で、弊社職員でもある有原啓登(ありはら・ひろと)氏に団地の魅力についてお話しいただきました。

団地を知ることは楽しい!

団地に興味を持つまでの団地のイメージはどうでしたか?

公社に入社以来、入居者の方からの届出・申請に関する業務、家賃等の収納に関する業務などに携わってきました。その時期は目の前の業務に無我夢中で、私にとって団地は「業務の対象」でしかなかったです。

そうなんですね。そんな中、どうして団地に興味を持つようになったのですか?

6年ほど前に、団地再生の部署に配属されたことがきっかけです。
業務の中で、自治体やまちづくりの最前線で活躍する方々と会話する機会があった際、公社の職員でありながら団地の歴史や全国の団地再生事例について知識不足であることを痛感しました。
そこで休みの日に、自腹で関連書籍を買い漁って読んだり、当時はまだ少なかった先進的な取り組みをしている団地を訪問したりするようになりました。
すると、団地について知ることが楽しくなり、どんどんハマっていったんです!

有原氏宅にある団地の本。

 

 

公社での仕事がきっかけだったんですね。
団地について講演したり雑誌に寄稿したりもされているとお伺いしましたが…。

はい、公社の業務とは関係なく個人の趣味として、すべて無報酬のボランティアで行っています。
数年前に、自分で学んだ団地や都市計画の情報をSNSに投稿したところ評判となり、大学や企業から講演の依頼が来るようになったんです。
これまで京都大学の授業や大阪府建築士会、長崎県庁などで延べ13回の講演を行いましたよ。
また、学芸出版社からの依頼で同社ウェブマガジンに『月刊日本の団地』という団地紹介コラムを連載しました。2025年11月には、一般社団法人建築研究振興協会の機関誌「建築の研究」にて全4回で連載した『団地の時代を支えた人と技術』が完結したところです。

学芸出版社「まち座」ホームページ画面 https://book.gakugei-pub.co.jp/rensai-danchi-12-vol-12/

団地の魅力~団地は人々の暮らしに寄り添ってきた~

個人の趣味として行っている活動がどんどん大きくなったのですね。
そんな有原さんが思う団地の魅力って、ずばりどこだと思いますか?

団地の歴史が、そのまま現在までの日本社会の歩みと重なっている点です。
もともと団地は戦後の住宅不足という社会課題を解消するために生まれたものですし、その後に住宅不足が解消され住まいの質が求められた80年代には、個々の住まい方を適える個性的な団地が建設されたりしました。現在も高齢化などの社会課題に取り組んでいる団地が多いです。

各時代のニーズに合わせて柔軟に変わってきたところは確かに魅力的ですね!
有原さんも実際に昔団地に住んでいたとお伺いしていますが、住んだからこそわかる団地の良さはありますか?



私は幼少期を横浜市にある左近山団地で育ちました。たくさんの人々が近い距離で暮らす環境が良かったですね。隣の棟に住む友達の家でご飯をいただいたり、上の部屋のおじさんがキャッチボールの練習に付き合ってくれたり。団地はいわば「立体の長屋」ですね。団地には個性がないと言う方もいますが、そんなことはありません。夜になるとたくさんの明かりが灯るのを見て、この一つ一つの中にそれぞれの暮らしと人生があるんだなといつも感動します。



ご近所付き合いが希薄になっていると言われて久しいですが、団地ではご近所さんとのつながりが残っているところも多いです。
また、日暮れにお部屋の明かりが点く様子を見たり、どこからか夕飯のにおいが漂ってきたりすると、ジーンとしたものを感じることも。
そういう情緒的な部分も人が団地に惹かれる理由のひとつなのでしょう。

有原氏が選ぶ、おすすめ団地

ここからは、団地を愛する有原氏がおすすめする公社団地をご紹介!
ご自身が外壁の色彩デザインを手掛けた「五月丘団地」について、実際に現地でお話いただきました。

外壁デザインのこだわりを教えてください。



現地周辺の戸建住戸に多く使われているクリーム色・茶・白の3色のみを使用することで、周囲との調和を図ると同時に、高級感を狙ったところです。
高台に立つこの住棟は壁面積が広く、周囲から目を引きます。そこで面ごとにメインカラーを変え、各面から見た時に異なる印象となる面白さを狙いました。同時にベランダの内壁等にサブカラーを配し、周囲に埋没せず個性も主張するよう意図しました。


団地の北側から見ると擁壁が城壁のように見えることから、お城のような雰囲気を醸し出したいと思い、北側の壁は思い切って白一色のデザインにしました。


また、団地の西側の公園から見ると、壁は薄い茶色、ベランダは濃い茶色という配色。周りの戸建てやマンションに馴染む色合いにしています。

周辺の様子を考えてデザインされたのですね。 実際にご自身がデザインした団地を目の当たりにした時の気持ちはいかがでしたか?

訪れて実際に目の当たりにしてみると、想定通り周辺の住戸にうまく調和していて安堵しました。品の良い佇まいで、以前の閉鎖病棟のようだった暗い雰囲気はもうありません。新しい色彩を得た住棟は、団地住人にも好評と聞きました。団地外壁の色彩デザインを手掛ける機会を得た団地愛好家は、珍しいのではないでしょうか。その機会を得た私は、とても幸せな趣味人だと思います。

団地は「都市課題の先行指標」

団地愛好家として、これからの団地に期待することはありますか?

団地の歴史を紐解くと、団地はもともと深刻な住宅不⾜という戦後の社会課題解決のため誕生しました。現在においても、団地は社会課題が最も早く出現する場所です。空き家問題も入居者コミュニティの希薄化も、メディアなどで報道される何年も前から団地の現場では顕在化していました。その意味で団地は日本社会の縮図であり「都市課題の先行指標」と言えます。団地内で起こったことは、やがて団地の外でも起こります。これからの都市や街づくりの課題や解決のヒントはまさに今の団地の実情と、そこで取り組まれている様々な活動の中にあると言えます。今こそ団地の社会的価値と意義が見直され、その歴史や現在の取り組みが広く注目されるべきだと思います。



団地は、レトロで情緒的なものというだけでなく、次々起こる都市課題を解決するべく、時代に合わせて柔軟に変化してきたものでもある。
今回は、団地愛好家の有原氏に団地が持つ多面的なおもしろさを教えていただきました。
さまざまな歴史のある団地のことを、皆様もぜひ調べてみてください!

〇五月丘団地
・住所:池田市五月丘3丁目1番
・交通機関:阪急宝塚線「池田」駅まで徒歩約19分
 「五月丘1丁目」バス停まで徒歩約4分 阪急宝塚線「池田」駅までバス約10分
・築年月:1970年2月

 


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