団地暮らしの様子を発信しているインスタグラムが人気のmikaさんこと、前野美香さん(フォロワー数1.3万人)。
前野さんは男の子3人(高校生、中学生、小学生)のママであり、本業は幼稚園教諭としてフルタイムで働きながら、得意の整理整頓・片付けを生かした収納アドバイザーとしても活動しています。
そんな前野さんから、子どもに片付けを習慣づけるコツや思い出の収納方法について、お話を伺ってきました。
※掲載写真のうち、子どもの名前や学校名の部分はモザイク処理をしています。
目次
片付けは生後10カ月の赤ちゃん時から教える
高校生の長男君の部屋。朝出かけた後、何もしていなくてこの状態。
きちんとベッドメイキングされ、机上もきれいに整頓されています。
教科書類は教科ごとに色分けして整頓。
収納方法は全て長男君が自分で考え、前野さんは長男君に指定されたカラーのものを購入してきただけだそう。
長男君が小さい頃、仕事はしていなかったという前野さん。
「ハイハイできて自分でおもちゃを投げることができるようになってきた頃、大体10カ月の頃から片付けを教えていました。その頃は、目で見てわかるようにシールを貼ったり、色分けして、『ココに戻してね』と声掛けしていました。まだ本を片づけるのは難しい時期ですが、ぬいぐるみはココ、車関係はココといったように細かく箱を分け、視覚的に分かりやすく分けて、一緒にお片づけしていました。都度、片付けについて細かく声掛けしていたように思います」。
小さい時から片付けを習慣づけていたから、自然とできるようになり、今では何も言わなくても、いつも片付けができているそうです。
片付けは『細かく物を戻す場所を決める』ことが大切
片付けは、物のお家を決めてあげることが大切だそう。
「大体この辺りといったアバウトな感じではなく、『これはココ、これはココ』と細かく物のお家を決めておいてあげると子どもはちゃんと戻せるようになりますよ」と前野さん。
「私の働く幼稚園でも、このおもちゃは大体ココと大まかな感じにしていると子どもたちは大ざっぱに片づけてしまいます。しかし、『これはココ、これはココ』と細かく物のお家を決めておくと、子どもたちは『これはどこやろ?』とゲーム感覚で楽しみながら片付けしてくれて、きちんと収まっています」。
ちゃんと戻す場所を決めておいてあげると、小さな子どもでも、きちんと元の場所に戻せるようになることを職業柄実感されており、これは心理学的にも言われているそうです。
片付けが習慣付く子育てポイントは、都度の細かな声掛け
前野さんは3人の子どもたちを見ていて、子どもの性格もあるとは思うものの、片付けの習慣は声のかけ方や育てられた環境によるところが大きいと感じているそう。
中学生の次男君はダウン症で、お気に入りのフィギュアなどを自分の周りにきれいに円にして並べるところがあるそう。
前野さん自身、その様子をしばらくそのまま見ていますが、次男君が他のことを始めると「もう使わないなら、どうするの?」と声掛け。すると、次男君は「あ!」と気づいて、自ら片付けするそうです。
ダウン症だからといって特別扱いはせず、他の子どもと同じように片付けも教えて育ててきたという前野さん。
次男君の時は3歳から保育園に預けて働いていたという前野さんですが、「保育園の鞄の中から洗濯物を出しておいてよ」とか、「明日必要なものは鞄に入れて玄関に置いておいてよ」と、都度、細かく声掛けしていたそうです。
今では次男君、自分のことは何でも自分でできます。
次男君はとても几帳面な性格で、服もとてもきれいに畳みます。
服を立てて収納するとヨレてしわになるので、きれいに保つため、重ねる形で収納。
着る服も自分で選びますが、下の方の服を選び出すときも、上の方の服がクシャクシャにならないよう、きれいに服を出しているそう。
ペンケースも鞄もきれいに大切に扱う、几帳面で丁寧な性格の次男君に整理整頓のコツを聞いてみました。
「鞄のどこに何をいれるか、眼鏡ケースはココというように、自分でそれぞれの物の場所を決めています」と笑顔の回答。
片づけることが当たり前に習慣付いているので、面倒くさいという感覚は全くない様子。
毎日学校から帰宅すると、ティッシュなども含めて、鞄から全ての物を出して片付け。
ごちそうさまの感謝を込めて弁当箱と水筒を台所に出し、連絡帳をリビングのテーブルに置いているそう。出し忘れは一度もないそうです。
そして、兄弟の中では片付けが苦手な方だという三男君ですが、几帳面です。
きれいな筆箱!小学生の男子ながら、消しゴムカスも皆無、鉛筆も全て削られた状態でスッキリ。
取材中、三男君は少し外出していました。
帰宅してからの様子を見ていると…持ち物全てを鞄から出し、定位置に片付け。誰に言われるでもなく、ごく自然にお片付け。
子どもに「片づけなさい!」と怒鳴るようなことがないという前野さん。
「子どもが本を3~4冊出している時は『一度に1冊しか読めないのだから、今読んでないやつは片付けや』というように、細かく声掛けするようにしています。おもちゃも同じ感じですね」だそう。
子どもに理解しやすく、理由と共に片付けを細かく声掛けすることが、片付けを習慣づけるポイントなんですね。
子ども服を収納するコツ
子どもが3人とも同性だと、上の子のお下がりの保管を考えますよね。
しかし、『子供服は少ない枚数を着たおして、1シーズンでおしまい』が前野家の基本。
「サッカーをしているので、サッカーの服と普段の服で分けて、子ども自身が分かりやすいように収納しています」と前野さん。
衣類ケースは『夏・冬・下着・パジャマ・学校・ならいごと』に分類。
一つの引き出しだけで、朝の身支度ができるように収納するのがポイントだそう。
靴下は大体1シーズン3~4足。
1人あたり、シーズンの洋服は1段に収まる分だけ。別途、シーズンオフの洋服は1段分保管。
夏服は汗の黄ばみなどで傷みやすいですが、冬服は状態がいいことが多く、下の子どもに受け継ぎやすいですね。
3人兄弟ながら、お下がりとしての保管はこの衣装ケース1つ分だけ。
『サイズ的に翌年も着れそうなもの以外は、シーズン毎に処分』して、適量を保っているそう。
「生活動線を考えて収納位置を考えるといいですよ」と前野さん。
そうすることで、収納のリバウンドは起こりにくくなるそうです。
子どもの思い出、整理・保管方法
子どもの成長と共に増えていく思い出。
3人兄弟分、それぞれを同じように整理しています。
思い出の品は、子どもごとに収納ボックスで保管。
へその緒や子供の頃に抜けた歯も含めて、写真や作品など、思い出の品を収納しているそう。
大きな作品は子どもにそれを持たせた写真を撮って残す。
置いておきたい絵はファイルに入れて保管しているそうです。
子どもごとに、ボックス1つ。
この3つのファイルで一人分の1セット。
基本、写真はデータとしてCD保存。
右:学校で購入した写真などをファイル管理
中:右のL版ファイルに入らない大きい写真
写真はため込まず、園や学校からもらってきた日にすぐにファイル収納。
これらの整理方法は何かを参考にしたものではなく、前野さんのアイデア。
左:合格証書などの紙類を保管通知表はInstagramでみたアイデアを真似したもの。
無印良品の仕切りファイルは13ポケット。ちょうど全て保存でき、ジャストフィット!
ランドセルにはカバーをかけて保存。
子ども一人一人を大切に思う優しい愛情を感じる、思い出の整理・保管方法ですね。
厳選された少ないものを愛用する暮らしにたどり着くまで
スッキリと団地暮らしをされている前野さんですが、昔は違っていたそう。
昔は、服も靴も帽子も好きで同じデザインでも色違いで購入するほど集めることが好き。でも、結局は一部の気に入ったものしか身に着けず、置いているだけで満足している状態だったとか。
いいものを大事に長く愛用するタイプの旦那さまと一緒に過ごすうち、『たくさんものを持たず、少ないものを大事にするのって素敵なこと』だと考えるようになったそう。
ちょうどその頃、Instagramで ”少ないものを大事にしている暮らしをされている方” を見て、自分が無駄なことをしているように感じ、自分もそんな生き方をしたい!と前野さんの考え方に変化が現れます。
それからは、一時的な感情で買い物をすることはなくなり、本当に必要か?何週間も考えるようになったそう。
すると、あまりものを持たなくなり、捨てること自体も減ることになり、現在に至ります。
自らの考え方や価値観の変化を経て、望む暮らしを叶えているって素敵なことですね。
前野家では『ものをなくさないから探すこともない』そう。
スッキリとした暮らしは、探し物にかかる無駄な時間もなく、空間も時間も有効活用できますね。
ぜひ、みなさんの暮らしの参考にしてみてください。
PROFILE
前野 美香
幼稚園の先生&男の子3人のママ。
収納・インテリアなど、素敵な団地暮らしを紹介しているInstagram(@m__rinrin)はフォロワー1.3万人。
「日本一多様な幸せが実現できる団地」づくりを目指して活動する『NPO法人団地ライフラボ@茶山台』で、得意の整理整頓・片付けを通じ、団地に住まう人の暮らしがより幸せになることを願って、収納講座などの活動を行っている。