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special
by nakayama

防災クッキングアドバイザーに学ぶ、防災キャンプめし~元気が出る災害時レシピ~

1995年に発生した阪神・淡路大震災から30年という大きな節目を迎える2025年。改めて防災や備えについて見直すうえで必要不可欠なのが「食」ではないでしょうか。
非常食として、水はもちろんカップ麺やアルファ米などをストックされている方も多いのでは。ただ、市販の非常食は、日持ちする一方で「なんだか味気なさそう・・・」という印象を持たれる方もおられるかもしれません。

災害時でも普段の食卓と変わらないような温かいごはんが食べられたら、元気が出るし気持ちもきっと落ち着くはず。
そこで今回は、防災クッキングアドバイザーとして活躍する鈴木佳世子先生に、ご家庭にある食材などを使って湯せんで簡単に作れる“防災キャンプめし”の作り方を教えていただきます。
公社広報モニターのFさんと一緒にチャレンジします!

先生のご紹介

阪神・淡路大震災の被災体験で災害時の食の大切さを実感したという鈴木先生。熊本地震で避難所の自炊支援をされた経験を活かすなど、「元気が出る災害食」「美味しいエコクッキング」をテーマとした料理教室や講演・セミナーなども行っておられます。

リモートで鈴木先生にご指導いただきながら、Fさんのご自宅で料理に挑戦。
作るメニューは、大豆ミートのカレー・ご飯・だし巻き卵・ういろうの4品。所要時間は1時間とのこと。本当に1時間でこんなに作れるの・・・?と筆者もドキドキしながらのスタートです。

ポリ袋を使って、同時に4品調理!

教えていただいたのは、すべてポリ袋に材料を入れて湯煎で完成する簡単レシピ。大きめのお鍋、カセットコンロ、カセットボンベ、湯煎ができる耐熱性のあるポリ袋を準備しました。

浸水に時間がかかるお米から取りかかります。ポリ袋にお米1カップとお水1カップを投入したら、袋をねじりながら空気を抜いて上の方でしばります。10分ほど放置し、その後20分湯せん。火を止めて10分蒸らします。お米1カップで2人分が目安です。

続いて、ういろうの調理です。
材料は、米粉100g・砂糖50g・水200cc。ポリ袋に米粉、砂糖を入れてよく混ぜてから、さらに水を加えてよく混ぜます。
ポリ袋はこのように上部を外向きに折り、倒れないように立てると材料を投入しやすいですね。

全体が混ざるようによくもんだら、お米と同様にできるだけ空気が残らないように袋の口をしばり、沸騰したお鍋の中に投入して30分湯せんします。
ポイントは、均一に火が通るようにできるだけ均等に長方形になるように成形すること。お湯に入れてしばらくすると周りが固まってくるので、調整しながら入れてもOKです。
菜箸を使うなどして、やけどに注意してくださいね!

カレーの材料は、大豆ミート50g・トマトペースト大さじ1・玉ねぎ薄切り4分の1個・カレールウ1かけ・水80ml、お好みでおろししょうがとおろしにんにくを少々。カレールウ1かけで1人分だそうです。
材料を袋に入れて中身を混ぜる際、カレールウは固いので袋が破れないように注意。加熱中に溶けるので、ここで混ざりきらなくても大丈夫です。

袋の口をねじりながら空気を抜いて上の方でしばり、20分湯せんします。

だし巻き卵は、卵2個・めんつゆ小さじ2分の1・水小さじ1を袋に入れます。卵黄をかるくつぶしたら、よく振って混ぜましょう。
こちらもういろうのように、できるだけ長方形になるように形を整えてお湯に入れて15分湯せんします。
途中で形を整えたいので、一度タオルの上に取り出し、袋ごと巻きすで巻くように転がして成形。その後、またお湯に戻します。

これですべての調理が終了!ポリ袋を使えば、種類の違う料理をお鍋で一度に作ることができるのも便利ですね。完成が楽しみです。

防災用品には心のケアができるものも必要

玄関のすぐ持ち出せるところに、防災用品をつめたリュックを準備するなど、普段から防災意識の高い公社公報モニターのFさん。調理中の待ち時間には、先生に防災についていろんな質問をされていました。

先生いわく、食べ物やブランケットなど防災グッズを用意しておくのはもちろん大事ですが「災害時は精神的なケアも必要」とのこと。気分転換できる自分なりのアイテムを用意しておくのもおすすめだそうです。
また、小さなお子さまは普段と環境が違うといつもよりグズってしまうことも。シールブックやお気に入りのおもちゃなどを防災用品の中にいれておくと良いそうですよ。
大人でも気持ちを紛らわせるものがあるといいですね。

いよいよ完成!!

カレーのいい匂いがただよってきました。
お米は蒸らし時間が必要なので、火を止めて、まずはだし巻き卵を取り出します。さわってみて真ん中がぶよぶよしてなければ完成です。
次にういろう。こちらも中心部がぶよぶよしてなければOK。

最後にお米を取り出します。固まってしまっているので、タオルなどで包んで軽くほぐしてからお皿に取り出しましょう。

カレーはルウが固まっているので、こちらもタオルなどで包んでもみほぐし、よく混ざるように振ります。袋の口の方と後ろの方、同じ側の隅をつまんですべらせるように流し出せば、きれいに取り出せますよ。

所要時間1時間!時間通りに完成です!!

だし巻き卵は程よくだしがきいていました。お米もふんわり炊けていて、カレーもしっかり火が通っています。ういろうも、ほどよい甘さとプルプル感。

全部湯せんで調理したとは思えないぐらい、すごくおいしかったです!

日ごろから心がけておくことは?

発災時は火を使うと危険なこともあるので、火を使わない食料を用意しておくのはもちろん大事なことですが、「災害時も普段もどちらも使えるものを用意しておくこと、災害時こそ普段に近いものや温かい食事をとって体調を整えることも大切です」と先生。また、「普段食べないものを、防災用に買っておくのはやめたほうがいいです」とも。賞味期限が来そうで食べるのも楽しくないし、いざという時に使わないかもしれないですよね。

さらに、冷凍庫は中身がつまっていればいるほど停電したときに保冷時間が長くなるため、ある程度冷凍したものを用意しておくと良いのだとか。「カットした野菜を冷凍しておくだけでも、いざというときに使いやすくて便利です」。これなら忙しいときにも活用できますし、冷凍備蓄にもなりますね。

「耐熱ポリ袋に下味を付けたお肉や野菜を一緒に入れて平らにして冷凍しておけば、フライパンで焼くだけですぐに調理できるのでおすすめ。蓋をしてしばらく放置して、溶け出た水分で始めは蒸し焼きにしてから炒めるといいですよ」。普段から活用できそうですね!!

いかがでしたか?
「湯せんで調理できる」ということを知っておくだけでも、気持ちに余裕が生まれるのではないでしょうか。
災害とは関係なく、湯せんでいろいろな料理にチャレンジしてみるのも、いざという時に役立つかもしれません。
やけどに注意は必要ですが、基本的に混ぜるだけなので、お子さまとも一緒に楽しめそうですね。

この記事は入居者向け広報誌「すまいる」2024年秋21号の特集としてご紹介しています。
バックナンバーも公開していますので、今公社賃貸住宅スマリオにお住まいの方も、住んでみようかな?と思っている方も是非見てみてくださいね。

≪すまいるバックナンバーページURL≫
https://www.osaka-kousha.or.jp/oph-search/information/magazine.html

防災クッキングアドバイザー 鈴木佳世子先生
https://saigaishoku.amebaownd.com/