団地暮らしと聞いて思い浮かぶものの一つが、独特のコミュニティーではないでしょうか?
子どもに若者、子育て世代から高齢者まで、多様な世代が集まる団地。
近所の子どもとおじいちゃんおばあちゃんが自然と挨拶をしたり、子育てに悩む世代が人生の先輩にアドバイスをもらったり、高齢者同士も友人ができたり。
世代を超えてつながれる環境は団地のいいところ。
ちょっと昔ながらで、あったかい。
そんな雰囲気をお届けしたく、枚方市招提南町にある招提団地で開催されている「だれでもカフェ」へお邪魔してみました。
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「0歳から100歳超まで、誰でもウェルカム」
開催場所は、団地の敷地内にある集会所。想像していたよりとても広く、オープン時間の10時前からたくさんのスタッフの方が準備に追われていました。
運営するのは招提校区福祉委員会(*注釈)。
「ここに住む人たちが誰でも気軽に集まれる場所ができたらと思い3年前くらいから始めました。0歳から何歳まででもウェルカムです。年に3回だったのが、好評なので今では毎月の開催に。コーヒーも最初はインスタントだったんですけど、今ではこだわりのスペシャルティコーヒーをお出ししています」とは、運営スタッフ。
この日は爽やかな飲み口とクリーミーな後味の「ニカラグア ラコパ カサブランカ」と、広島県産清見オレンジとセイロンティーをブレンドしたフレーバーティーがメニューに登場。
コーヒー好きが高じてこの道半世紀以上という、だれでもカフェのマスターが苦味を取り除き、丁寧にハンドドリップして入れてくれるコーヒーは専門店で飲むような本格的な味わい。
しかもなんと無料でいただけるとのこと。すごい・・!!
カフェでは社会福祉協議会の「福祉なんでも相談会」が同時開催されていることもあって、このコロナ禍での暮らしの不安や困りごと、母子家庭の方のお悩みなどを気軽に相談できる心強い場所にもなっているそう。
もちろん、ふらりとコーヒーを飲みに来るだけのカフェ使いでもOK。この日は約30名ものご近所さんたちが集まりました。
テイクアウトも人気。「常連さんも多いんですよ」
コーヒーにこだわるこちらのカフェではテイクアウトも用意されていました。
豆の詳細を書いた紙やお茶菓子も一緒に手渡してくれます。
熱々のコーヒーを持ち帰って、団地のお部屋で飲むのもいいですね。
「今日も寒いね〜」と言葉を交わすだけでも、なんだか心がホッと緩みますよね。
運営スタッフは周辺に住むボランティアの方々も多いため、テイクアウトだけでも近所に住んでいる方とコミュニケーションがとれるのは安心できるポイントだなと感じました。
誰もが自由につながれる、団地らしいコミュニティー
自由に読める図書コーナーや、塗り絵などを楽しむことも。子どもの参加が多い時には、おもちゃなどを置いていたりもするそうですよ。
集中して塗り絵を完成させる方もいれば、「これで3回目。勇気を出して来てみてやっぱりよかった〜」と嬉しい声も聞こえてきました。
思い思いに過ごしながらも、ここに来れば誰かとゆるくつながれる。そんな憩いの場所になっているようです。
テーブルにはキレイなお花も。実は招提団地で育てているお花を毎回生けているそうなんです。
こうした心配りもあってカフェの空間はとても和やか。
外には子どもが遊ぶ声が響き、なんとも団地らしい光景が広がっていました。
家から出なくても暮らせる時代こそ、こんな場所が必要かも
片手で商品をポチッと注文できたり、当たり前のように出前が取れたり。今や家から出ることなく暮らせるようになりましたが、その分まわりとつながる必要性も減ったように感じます。
そんな中、人と人がつながり「元気?」と声をかけあえるこんな場所があることは、心の豊かさや住まう場所への愛着につながるはず。そして災害時など緊急時には、きっと心強い絆にもなるのでは。
だれでもカフェを通して、団地が持つ可能性を改めて感じたのでした。
【注釈】
校区福祉委員会:
自治会から選出された福祉委員が中心となり、社会福祉協議会とともに「福祉のまちづくり」を進める目的で、小学校区ごとに設けられた住民主体の地域福祉活動組織。