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from SMALIO
by tsujimoto

住まいのアンサーボックス~失敗しない間取り選び!団地に3DKが多い理由~

爽やかな初夏の風が吹く季節になりました。
お盆休みやお子さんの夏休みに合わせて、お引越しを検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、お部屋の間取りについてちょっと詳しくなれるお話や、新しくお部屋を探す際にも役立つ情報をご紹介します。

賃貸住宅を探す時に必ず目にする〇DKや〇LDKという表記。
間取りを示すものということはほとんどの方がご存知だと思いますが、今回はこの間取りがどうしてできたのかや、間取りを選ぶ時に知ってるとちょっと役立つ情報をお届けします。

「~LDK」の間取り誕生!

まず、私たちがよく目にする〇DKや〇LDKがどうして生まれたのか調べてみました。
これがリビング(L)・ダイニング(D)・キッチン(K)の頭文字だということはご存知の方が多いと思います。
今となっては定番のダイニングキッチンスタイルですが、この間取りの集合住宅ができたのは、実は戦後の公営住宅、いわゆる団地が始めと言われています。今から約70年前でした。

ここでちょっと間取りの歴史に詳しくなれる豆知識。
団地は戦後の人々の暮らしと密接な関わりがあって、戦後復興の鍵となった住宅です。質が良く、安い家賃で多くの人が安心して住めるものとして普及しました。

△ 戦後7年目となる1952年管理開始の公社布施団地(現在は管理廃止)

戦後当時の日本はまさに焼け野原状態。たくさんの人が住む場所にも困る状況でした。
そこでなるべく「早く」「たくさん」住む場所を確保する必要があり、燃えにくく、未来の資産になる、鉄筋コンクリート(RC造)の住宅を作ろうということになったんです。
しかし、木造の作り方ならともかく、RC造の作り方はあまり普及しておらず、時間がかかることが課題でした。
その解決のために当時の建設省(現在の国土交通省)によって「団地」の設計仕様書が作られました。
この時に、コンパクトなスペースで快適に暮らすことのできる間取りとして提案された、住宅界のいわゆる量産型系を51C型と言います。
この流れは大阪市北区にある「大阪市立住まいのミュージアム(愛称:大阪くらしの今昔館)」(※1)で分かりやすく展示されていますので、お近くに寄られた際は是非行ってみてくださいね。住宅だけでなく、昔の道頓堀の様子等も見られて面白いですよ。

さて、間取りの51C型って何?と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。あまり馴染みのない言葉ですよね。
正式には「公営住宅標準設計C型」といいますが、このCというのは広さのこと。
A(16坪・約53㎡)、B(14坪・約46㎡)、C(12坪・約40㎡)の広さのうち、Cの広さだったことと、1951年に登場したこと、この2つから51C型という呼び名が一般的になっています。

△ 建設当時からある団地のキッチン(1956年管理開始の枚方団地、現在建替中)

戦後当時は、戸建て住宅で布団を上げ下ろしして、団らんや食事のスペースを、夜には就寝スペースとして使う「食寝転用型」が、定番の住まい方でした。
そこで採用された「寝室を分けた食寝分離型」の間取りである51C型の集合住宅は憧れの最先端の暮らしとして、たちまち人気となり、公営住宅を先駆けとして、民間のアパートや分譲住宅、マンションへも普及し、日本の住宅の転換期になりました。
このように51C型の間取りが普及した後、民間の住宅メーカー等が3DKや3LDKといった形で集合住宅を売り出したのがLDK表記の始まりだそうです。

スクラップ&ビルドの時代が終わり、持続可能な社会や現在ある住宅のストックを活用していくことが注目されている今、築年数の古い集合住宅は各地に残っています。公社スマリオでも、建設から50年を超える団地が多く、間取りも当時から変わらない2DKや3DKが大半です。
そこで、この日本に根付いた間取りでより快適に暮らしたり、お部屋を選ぶときに気を付けたいポイントをご紹介します。

間取りは風通しの良さに直結する?

まずは、お部屋の風通し。団地には住戸の対面する壁同士にベランダや窓があり、お部屋のドアや襖をあけることで住戸を風が吹き抜けるつくりになっているものが多く、風がよく通り、夏でも涼しく過ごせたり、効率よく換気ができます。効率の良い換気ができると、カビや結露対策になるだけでなく、部屋干し臭を防ぐというメリットも。
たとえどんなに大きな窓があっても、吹き抜ける先がなければせっかく取り込んだ風がうまく回らず、空気がどんよりしてしまいます。そういう時は、ドアや襖を開けて風の通り道を作ってあげると空気が入れ替わって気分もスッキリ。
高層階だと風が強すぎて窓を開けられないこともあるので、その点もお引越しの際には要チェック。5階くらいだと気持ちの良い風が吹き抜けます。
マンションではベランダ以外に窓がなかったり、窓があっても廊下に面していて開けづらいと聞いたこともあります。
そんな時は開けた窓に向けて市販のサーキュレーターを使うと効率良く換気できますよ。
この梅雨時期は湿気に悩まされがち、今のお住まいであまり換気ができていないなぁという方も是非お試しください。

見落としがち?日当たりチェックの落とし穴

夜に内覧をしていたりすると見落としがちな日当たり。自分の力で後から改善することができないので、気になる方は必ずチェックしておきましょう。
ベランダが南向きといったように、方角については確認される方が多いと思いますが、周りの建物も要チェックです。せっかく方角が良くても、隣に大きな建物があると影になってしまうといった落とし穴に注意です。
多くの団地では、基本的にベランダは南向きになるように建っていて、部屋の奥まで日光が届くように設計されています。また、一番日の短くなる冬至の日でも4時間は日が当たるよう、隣の棟と十分に距離をとって配置されているんです。もしお近くに団地があれば是非チェックしてみてくださいね。

△ 4月のスマリオ香里三井B団地(寝屋川市) ベランダからの景色

ベランダや大きな窓からの景色は、開放感があって気持ちのいいものです。お引越しされる際には、できればお昼と夜でどう変わるか確認しておきましょう。

今回は「~DK」や「~LDK」という間取りのはじまりや、お引越しの際のチェックポイント、それを生かした暮らし方についてご紹介しました。
今後もさまざまなテーマで住まいや暮らしについての情報をお届けする予定です。
こんなテーマが読みたい!というリクエストもお待ちしておりますので、よろしければアンケートにもご協力ください。
住まいに関する記事についてのアンケート

(※1) 大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」
「住まい」を中心に、「暮らし」から「まちづくり」までをテーマとする、歴史系のミュージアム。大阪の都市居住の歴史を楽しく学ぶ中核施設として、また「住むまち・大阪」に対する愛着とイメージアップを図る住情報の拠点として、「住まい情報センター」の活動の一翼を担っています。

<参考>
鈴木 成文(2006).『五一C白書―私の建築計画学戦後史』.住まいの図書館出版局 .
鈴木 成文,上野 千鶴子,山本 理顕,布野 修司,五十嵐 太郎,山本 喜美恵(2004).『「51C」家族を容れるハコの戦後と現在』.平凡社.
公社の賃貸ブログ supported by 神奈川県住宅供給公社. “団地の歴史を知ろう。始まりから衰退、そして再生期へ。” .神奈川県住宅供給公社. 2017.https://www.kousha-chintai.com/blog/knowledge/apartment-complexes-history.php,(参照 2023-04-24).