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life
by Futaba

愛着を持って、長く使う ~その1 衣服を美しく蘇らせる「ダーニング」~

こんにちは。
最近、趣味で「金継ぎ」教室に通っているフタバです。

「金継ぎ」とは、割れたり欠けたりしてしまった器を、漆と金を使って蘇らせる日本の伝統的な技法のことです。
壊れてしまったらすぐに処分するのではなく、より良いものとして生まれ変わらせることができる、そんな素敵な技を身に着けられることが嬉しくて、とても楽しみながら教室に通っています。

金継ぎの作業をしていると、築50年を過ぎても、修繕やリノベーションによって蘇る「団地」に重なる部分があるなあ、と感じます。
器が割れたり欠けたりしてしまったことも思い出となり、それを蘇らせることで、さらにその物に対する愛着も増して大事に使いたくなるような気がしています。
団地に対しても、そんな目線で見てみると、なんだが愛着が湧いてきますね。

今回は「愛着を持って、長く使う」をテーマに、お部屋で始められる趣味をご紹介します。
第一回は、衣服を美しく蘇らせる「ダーニング」を、スマリオの入居者さんと実践した様子をお届けします。

ダーニングとは

ダーニングとは、「ヨーロッパで伝統的に行われている、衣類の穴あきやすりきれた箇所を修繕する針仕事」です。(引用・写真提供:クロバー株式会社 )

靴下やニット生地の洋服に、穴が開いたりほつれたりしてしまって、使えなくなってしまえば処分するしかありませんが、この「ダーニング」を使えば、素敵に蘇らせることができます。
また、洗濯しても落ちにくい醤油やカレーの染みを隠すこともできる、とっても便利な技法です!

道具さえ揃えれば、1人でも気軽に始めることができることが嬉しいポイント。
また、音を出したり体を動かしたりすることが少なく、作業に必要なスペースも小さいため、団地やマンションのような集合住宅でも始めやすいですね。

用意するもの

基本的に用意するものはこちら。
今回はクロバー株式会社さんから「ダーニングマッシュルームセット」をご提供いただきました。

〇ダーニングしたい衣服
 靴下やニット生地の衣服、他にもクッションカバーなどのインテリア用品でもダーニングは可能です。

〇ダーニングマッシュルームセット
・ダーニングマッシュルーム
 キノコのような可愛らしいフォルムのダーニング用の修繕器具です。
 球体でツルツルしたもの(おたまなど)で代用することもできます。

・ダーニング糸
 今回はダーニング用の糸を使用しますが、刺繡糸や細い毛糸でもできます。

・手芸針、糸切はさみ
 糸をご自身で用意する場合は、糸の太さに注意して手芸針をご用意ください。

・ゴム
 ダーニング部分を固定する際に使用します。髪ゴムなどでも代用することもできます。

〇あったら便利なもの
・糸通し
 針に糸を通す場面が何回かあるため、用意しているとスムーズに作業が進みます。

ダーニングするものに合わせて、どの色の刺繡糸を選ぶのかを考えるのも楽しいですね。
補修箇所が分からないように似たような色の糸を選ぶこともできますし、あえて衣服とは別の色の糸を選んでアレンジすることで、世界に1つだけの作品を作ることもできます。

ダーニングに初挑戦!

今回は、スマリオの団地に住むTさんと一緒に、お子さんのタイツと、靴下のダーニングに挑戦!
どちらも穴が開いていてほつれてしまっています。
Tさんは白いタイツに映える赤色を、フタバはオレンジ色のダーニング糸を使用します。
慣れていないうちは、生地の色と異なる糸を使用した方がやりやすいです。

①まずは、穴が開いてしまった部分が真ん中に来るように、マッシュルームを当てて、ゴムで固定します。
ここで生地をピンと張っておくことで、後で作業がしやすくなるのでおすすめです。

 

②たて糸に使いたい糸を針に通したら、楽しい作業のはじまりです!
まずは、穴の少し外側の右上から刺して、生地を小さくすくい、糸を下に引きます。
この時、糸端は10cmほど残しておくのがコツ!玉留めは不要です。

 

③次に、最初に刺したところの(図の①)真下を小さくすくい(図の②)、続いて少し左を小さくすくいます(図の③)。
仕上がりがあまり厚くならないように、糸と同じくらいの太さの幅を空けてすくうことがポイントです。

 

④それを繰り返し、穴の反対側までたて糸を張ります。
できあがりの四角形をイメージしながら進めると、仕上がりが綺麗になりますよ。
ただ、作業に集中していると、だんだんと四角形が崩れてきてしまい何度かやり直しました(笑)。
それを防ぐためにも、形が整っているかを1回ずつ確認して進めることをおすすめします!

 

⑤次に、よこ糸を張っていきます。
よこ糸に使いたい糸を、新たに針に通します。
たて糸のすぐ横を小さくすくい(図の①)、たて糸を1本おきに通します。
1本目のたて糸の上、2本目の下、3本目の上、という感じで、交互に通すことを端まで続けます。
端まで通したら(図の②)、その少し左を小さくすくいます(図の③)。

 

⑥糸を引いて、糸端は10cmほど残しておきます。玉留めは不要です。
マッシュルームを180度回転させて、前の段と同じ方向から通せるようにします。
たて糸のすぐ横を小さくすくい、前の段と上下を逆にして、たて糸を1本おきに通します。

 

⑦針や指先で、よこ糸の間隔を詰めたり、目を整えたりしながら、最後までよこ糸を通せたら、糸端を10㎝ほど残して切ります。

 

⑧ゴムとマッシュルームを外したら、最後に糸端の処理をします。
糸端を裏側に引き出して、ステッチを2目ほどすくい、糸をくぐらせます。
先ほどの糸を割るようにして2目ほど戻し、きわで糸を切ります。

 

これで完成です!
穴は塞がり、とても可愛らしい仕上がりになりましたね!
基本の四角形を作るのに慣れていけば、それ以外の形に挑戦してみるのも楽しいですね。

 

寒い冬にびったりの趣味

お部屋で温まりながらできる趣味があると、寒い冬も楽しく乗り越えられそうですね。

Tさんからは、「不器用なので自分には難しいかも?と最初は思いましたが、時間を忘れるぐらい集中して楽しくできました!細かい作業が好き、という自分の新たな一面を発見できた気がします。
またダーニングをすることによって、もう捨てないといけないと思っていた服をおしゃれに蘇らせることができて、今の時代にとても合っていると思いました。
これを機に、趣味でダーニングを続けたいと思います!」と嬉しい感想をいただきました!

ダーニングを知っていれば、ニット生地の洋服や靴下がほつれたり、穴が開いたりしてしまうのも怖くなくなります!
また時間をかけて作り上げることで、さらに愛着の湧く一着になりそうですね。

この冬に着ていたセーターや靴下などが、そろそろほつれたりしてきていませんか?
ほつれたり、染みがついてしまったけど、まだまだ長く使いたい!というものがありましたら、省スペースで気軽に始めることができる趣味なので、ぜひダーニングに挑戦してみてくださいね。

今回ダーニングセットをご提供いただきましたクロバー株式会社さんでは、公式HPでダーニングの解説ムービーや、レシピを公開しています。

ダーニングマッシュルームとは

ダーニングマッシュルーム ムービー

次回は、フタバの趣味でもある「金継ぎ」をご紹介します!
金継ぎ未経験の方と一緒に実践してみた様子もお届け予定です。お楽しみに!
(記事は来年度に公開予定です。)