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life
by ちゅう吉

団地暮らしの防災【地震】 前編:備える

団地というと、古いイメージ…地震が来ても大丈夫?耐震性ってどうなっているの?といった声をいただくことも。
実は、大阪府住宅供給公社の公社賃貸住宅スマリオの団地、耐震化率は93.8%。

▼公社賃貸住宅スマリオの耐震化の取り組み
https://www.osaka-kousha.or.jp/x-info/taishinka.html

住宅の耐震化率約79%(国土交通省調べ、H20 年時点)、防災拠点となる公共施設等の耐震化率70.9% (消防庁調べ、H22.3.31 現在)と比較しても、スマリオの団地の耐震化率は高め。

意外でしたか?

団地暮らしの土台である「建物」の耐震についてわかったところで、ついつい後回しになりがちな防災対策、いざ!という時に備えて一緒に見直してみませんか?

そこで今回は、防災のプロ・大阪公立大学 都市科学・防災研究センターのコーディネーターであり防災士である増田さんと一緒に、門真団地(門真市)にお住まいのOさんのお宅へ。
増田さんに団地暮らしの地震対策について、教えていただきました。

前編では、地震への備えについてご紹介していきます。

POINT① 家具・家電の転倒防止、複数を組み合わせて強化

南海トラフの巨大地震では、大きな揺れが2~3分続くとも。
長時間の大きな揺れに対して、転倒防止策が一つだけでは不十分と言われています。

背の高い家具・家電は、複数の転倒防止策を組み合わせて、対策強化を図ることが大切です。
例えば、上部に突っ張り棒を設置する場合、家具の下部にもストッパー式の転倒防止プレートを設置しましょう。

突っ張り棒を設置する場合は、一つの家具に対して『2本』を、家具上部の『両端』かつ『奥』に設置するのが効果的です。

しかしながら、団地によっては天井の使用が「膜天井」の場合も。
膜天井かどうかは触ってみると分かります。
固くなく、ポワポワとゴム風船のような柔らかい感触の天井です。

この「膜天井」には、突っ張り棒は設置できません。
突っ張り棒を購入する前に、お住まいの団地の天井に触れて確認してみてくださいね。

膜天井のスマリオの団地では、事前にDIY届出をすることで、釘を使っての耐震対策が可能です。
突っ張り棒が設置できなくても、釘を使って、家具・家電を壁に固定する転倒防止対策ができますよ。

そのほか、食器棚などガラス戸のある家具には飛散防止フィルムを張り、扉部分には扉開放防止器具を取り付けるなど、地震によるガラスの飛散や収納物の落下にも気を付けて対策しましょう。

POINT② 家具・家電の配置を見直し、避難ルートを確保

阪神大震災の時は就寝時の方が多かったため、家具による圧死が多かったと言われています。

地震発生時、自分の上に何も倒れてこない、落ちてこない、飛んでこないように家具・家電の配置を見直してみてください。

キャスター付き家具にはストッパーをつけて、揺れが来た時に動かないように対策しましょう。

上部からの落下としては、「照明器具」にも注意が必要です。
天井から吊り下げるタイプの照明器具は、地震による揺れ・落下の危険性があります。
その点では、天井に直接据え付けるシーリングタイプの照明器具の方が安全だと言われています。

吊り下げるタイプの照明器具の場合は、落下防止ワイヤーを設置することで揺れ・落下に備えることが可能です。
しかし、膜天井の場合は、天井にワイヤーなどを設置できないので、吊り下げるタイプの照明器具の防災対策ができません。注意しましょう。

そして、意外と落下の危険性を忘れがちなのが、テレビです。
大画面で薄型の液晶テレビは、上部が重たいので、実はとても不安定。
地震の揺れで転倒しやすく、液晶が割れて飛散する危険があります。
液晶画面の背面にストラップ式の固定器具を設置して、地震に備えましょう。

最後にもう一点、ガラスの飛散から足元を守るために、寝室にもスリッパを置いておくと、より安心です。

POINT③ 団地で避難生活という選択   

実は、被災したら、必ずしも避難所に行けばいいということでもないんです。

避難所に限らず、難を逃れていれば、どこにいたとしても「避難」。

地震で団地が傾いた場合や、室内が滅茶苦茶になった場合、近所で火災が発生した場合は、持ち出し袋を持って、安全な場所へ避難しましょう。

しかしながら、上記以外の場合は、避難所と団地(自宅)、どちらにいた方が自分にとって安全か?メリットがあるか?で選ぶといいですよ。

一人で過ごすのは不安だけど、みんなと居ると安心だと感じる方にとっては、避難所の方が良いかもしれませんね。

しかし一方で、避難所ではプライバシーの確保が難しいというデメリットも。
女性にとっては団地(自宅)の方がプライバシーの確保ができるので、身の安全のために、団地(自宅)の方が良いとも言えますから。
小さなお子さんのいるご家庭も、避難所で周りに気を使うことを考えると、団地(自宅)の方が過ごしやすい場合もありますね。

一人一人、被災時の状況は異なってくるので一概には言えませんが、いざという時に判断しやすいよう、自らの避難基準を日頃から想定しておくのがオススメです。

POINT④ 水の備蓄は1人当たり3ℓ×7日分

被災後、生き延びるための対策も大切ですね。
自治体の災害シミュレーション等でも、「被災地支援が来るのは7日目以降」と言われています。
そのため、「7日間分」は、生き延びるための備蓄を自分で用意しておきましょう。

まずは、私たちが生きていくために、最も大切な『水』。

いざとなったら、避難所に給水車が来るから大丈夫だと思っていませんか?
災害時、給水車は複数カ所の避難所を回ることになります。
給水車が来所しても、一度でそこにいる全員に行きわたるほどの給水は得られにくく、次の給水が来るまで長時間待つことになる場合も。

また、おそらく、給水の際は1人当たり3ℓ配給されると思いますが、3ℓは約3㎏あり、運ぶのも大変です。
実は、給水袋に水を入れて運ぶのは意外と持ち運びづらく、持ち帰ってからも給水袋のままでは使用しにくいため、あまり実用的とは言い難いかも。

水を入れる容器としては、2ℓのペットボトルの空容器があると便利です。リュックで運ぶ際にも、ペットボトルなら扱いやすいのでオススメですよ。

ぜひ、1人当たり3ℓを目安に、7日分の水を備蓄しておきましょう。
洗い物ができないことも考えると、1人当たり500mlのペットボトル(42本)で備蓄しておくといいですね。

POINT⑤ 団地で生き延びる、備蓄消費プラン

水の次は、食べ物について、みていきましょう。

食べ物についても、水と同じく、被災地支援が来るまでの「7日間分」を自分で賄うことを考えます。

被災時、まずは冷蔵庫にある「生肉・生魚」から消費しましょう。その後、冷蔵庫の中の他のものを食べるようにしましょう。

冷蔵庫のものを食べてから、乾物やレトルト食品などのストックしている保存食品を消費するといいですよ。
半年くらい持つ「野菜ジュース」は、震災時の野菜不足を補うことができるので、備蓄にオススメです。

防災食として売られているものは値段が高めなので、日常のもので補えるといいですよね。

災害時の調理で役立つのが、パック・クッキング。
キャンプをされる方はご存じかもしれませんね。
耐熱性のポリ袋に食材を入れ、袋のままで湯煎する調理方法。
普段の食品が使える上、湯煎に使用した水も再利用できるので、パック・クッキングは災害時にも役立つライフハックです。

また、加熱調理には ”火” が必要ですが、災害時は電気もガスも停止している可能性が高いです。
そうした場合に備えて、カセットコンロを準備している方も多いのではないでしょうか?
カセットボンベ1本の燃焼時間は強火で約1時間。大人2人で7日分だと、カセットボンベが約9本必要とも言われています。

カセットボンベは保管環境や経年劣化によるガス漏れの可能性があり、取り扱いに注意が必要な危険なものです。そうした理由から、大量のカセットボンベの備蓄はオススメしにくい面も。
これまでの災害時の復旧状況からすると、ガスより電気の復旧の方が早い傾向があるので、IH調理器具も用意しておくことをオススメします。

そして、食べることとセットで大事にしてほしいのが、口腔衛生に関すること。
断水時に歯磨きできない場合に備え、マウスウォッシュや歯磨きシートも準備しておくといいですよ。

POINT⑥ 団地暮らしは、携帯トイレが必須

地震による断水時、お風呂にためた水でトイレを流せばいいと思っていませんか?
それ、NGです。断水時、集合自宅ではトイレを流してはいけません!

理由は、地震の揺れでトイレの排水管が破損している可能があるから、なんです。
万一、排水管が破損していた場合、汚水による二次被害が生じてしまう可能性があります。

被災時に二次被害まで生じたら大変ですよね。平常時と違い、修理がいつになるかもわかりません。
団地は集合住宅ですから、他の方への思いやりも忘れずに。

トイレは、便器が破損していなければ、今ある便器をそのまま使えるので、便器代わりになるものまでは必要ありません。
今ある便器に設置して使える携帯トイレを備蓄しておきましょう。

1日あたり1人6回として、1人当たり 6回×7日分=42回分 が目安になります。

携帯トイレは100均で買うと割高なので、ホームセンターで売っている大容量のものを用意しておくといいですよ。

ちなみに、トイレ使用後、凝固剤で固めた状態の汚物の大きさは、1回あたり約こぶし1個分です。
普通ごみの回収が来るまでの間、ごみを置いておけるスペースについても考えておくといいですね。

地震が起きた瞬間、自分の命を自分で守れなければ、どれだけ備えをしていても無意味になってしまいます。
命を守るため、POINT①・POINT②には特に気を付けましょう。

後編では、地震に遭った場合の「情報収集」について、ご紹介します。
▼ 団地暮らしの防災【地震】 後編:被災後の情報収集 はこちら

 

PROFILE増田 裕子 
防災士
大阪公立大学 都市科学・防災研究センター(UReC)・ コーディネーター
新東三国地域福祉活動協議会・副会長

淀川区新東三国地域福祉活動協議会・副会長として、誰もが安心して暮らせる町づくりをめざして活動を行うとともに、防災士の資格を生かし、地域防災リーダーとして防災計画づくりなども行っている。
普段の暮らしの延長で無理なく備える防災準備など、女性ならではの視点で届ける防災の講演は毎回大好評。
関西各地で、講演やパラコードアクセサリーワークショップなど、防災の大切さを伝える活動を行っている。