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special
by tsujimoto

【団地と共に歩むこと】学生×公社職員対談「近すぎず遠すぎず。誰もが安らげる居場所を」【後編】

堺市南区茶山台団地内のいろんな世代が集まる茶山台としょかん(※1)。
大学生のOさんはNPO法人SEINのインターンシップの一環で、としょかんの管理をする「としょがかり」として活動しています。
前編では、Oさんの団地との関わりについてのインタビューをご紹介しました。
【団地と共に歩むこと】茶山台のコミュニティーに関わる学生さんにインタビュー!【前編】はこちら

後編は、公社の団地再生事業を担当する職員も参加し、年代の近い2人に茶山台での取り組みについて話してもらいます。

いいなと思う茶山台団地の取り組みはありますか?

 

今やっている中だと、スマホ相談会はとても良い試みだと思います。
高齢の方だと、スマホで電話に出る以外のことがわからないといったことが多いみたいで。
「家族に連絡したい」とか、コミュニケーションの支援になるような相談もありますし、そこから家族の身の上話を聞くきっかけになったりもします。

 
 

スマホ相談会はワクチン接種予約が始まった時に、高齢の方から「予約方法がわからない」と、としょがかりに相談があったのがきっかけで始まったんですよね。
外出自粛の状況で人に聞くことができない方も多くて、ニーズがあった印象です。

 
Oさん(向かって右)と公社職員(左)
 

「この花綺麗やったから、娘に送ってあげたいんよ」という相談や、「ぶつぶつって何?」と聞かれて何のことか頭を悩ませていたらQRコードのことだったとか(笑)、微笑ましいエピソードもたくさんありますよ。

 
 

Oさんは高校生の進路相談に乗ってくれたり、来てくれた人とのつながりがどんどんできていますよね。

 
 

みんなこっちが落ち込んじゃいそうなくらい頭の良い子が多いので、背中を押すくらいのことしかしてませんが、一緒に悩んだりしてますね(笑)

 
 

こうしてOさんと世代の近い若い方も来てくれやすくなるし、主婦のとしょがかりの方が子どものイベントで来れない時にもとしょかんを開けられるので助かってます。
SEINさんからも「来てくれてありがたいし、多世代の方と幅広く話して仲良くなれる若い人材は貴重と感じます」と聞いてますよ。
仲良くなるために何か気をつけてることはあるんですか?

 
 

恐れ多いです。(笑)
入居されてる方との距離感は近すぎても遠くてもだめなので、丁寧に寄り添えるように気を付けていますね。
勉強になったのは認知症の対応。一度認知症の方がとしょかんに来られたことがあって慌ててしまって。
ヘルパーをやっている住民さんが対応してくれて事なきを得ましたが、とっさに判断することが難しく感じたので、落ち着いて危険のないように対応や見守りができるようにしていきたいです。

 
お住まいの方々と一緒にペイントした壁画を見ていると、思い出話に花が咲きます。

2人とも、団地の今に寄り添ってそれぞれの立場で活動していることが伝わってきます。
有志の住民ボランティアさんたちも団地に欠かせない存在になっているのですね。

団地再生プロジェクト、これからの課題は?

 

コロナ禍で、「集まる」ということに抵抗のある人が多くなり、来てくれる人が減ってしまったことですかね。
「夏休みの宿題サポート」や「みんなでシルバニアファミリーで遊ぼう」など小さなイベントから集まりやすい環境づくりはしていますが、まだまだコロナ前の賑わいは遠く感じます。

 
読書感想文向きの書籍を紹介するコーナー
 

住民さんを主体に様々な出し物をする16棟マルシェ(※2)などのイベントの時はたくさん人が来てくれますが、それとは別に、日常に寄り添ったコミュニティーの場として根付かせることが目標なので、改めて頑張っていかないといけないです。

 
 

としょかんをきっかけにコミュニティーは少しずつ大きくなっていますが、来てくれる人の固定化も課題ですね。
直接の参加は報告会やイベントくらいなので、もっと関わっていったほうがいいと思う場面もあります。

 
 

スタッフとして動ける人が少ないのも課題ですね。

 
 

でも、今年の16棟マルシェでたくさんの人が訪れているのを見て、積み重ねを感じたし、現場で動いてくれる方のおかげだと思いました。
開催季節が変わっても来てくれるのは、イベントとしての知名度ができたからだと思うんですよね。
茶山台としょかんの「としょだより」も団地内の全戸配布や、ゴミの日を載せる等見てもらう工夫をしてくれて、活動の定着を感じています。

 
 

としょだよりはずっと続けていて、7年目になるそうなんですけど、近隣の別の住宅に住む方も取りに来てくれたりするので、やりがいがあって嬉しいですね。

 

賑わいを取り戻していくのはとても大変ですが、継続は力なり!ですね。
少しずつでも確実に大きくなっていく茶山台のコミュニティー。
今後の進化も楽しみです。

団地のコミュニティーを通じて思うこと Oさんより

茶山台としょかんに関わらせてもらってからの数年で、人とのつながりや縁はとても大事だと強く感じています。
高齢の方も少しでも外に出て人と会う環境を作り、社会から孤立しない仕組みづくりができたらと思いました。

理想はどんなお宅にでも子どもたちが気軽に挨拶しに訪れることのできるような関係性や土壌づくりをしていくことですね。
子どもたちはまっすぐに人と関わることができるので、大人よりも人間関係に飛び込んでいきやすいと思うんです。

子どもたちが団地内で安心して過ごすには、周りがあたたかく見守りができるような環境が大事なので、としょかんへの関わりを通して、そういった環境を作るお手伝いになれば嬉しいですね。

団地のコミュニティーの輪について思うこと 公社職員より

今、茶山台団地では、茶山台としょかんをはじめ様々なコミュニティーの場ができています。
例えば、DIYが体験できるDIYのいえ(※3)では、サポーターズとして活動してくれる男性たちや、DIY女子部を結成している主婦の方たち。団地内のお惣菜屋さん、やまわけキッチン(※4)では一人暮らしのおじいちゃんやおばあちゃん。としょかんには子どもたちもたくさんきてくれます。

こうして、それぞれの年代や好みにあわせたコミュニティーの場がいくつも集まることで、1つの大きなコミュニティーが出来上がっていくと思うんです。
そういった場を増やして、場同士をつなぐパイプを増やしていけるのは、Oさんはじめ、協力してくれる人がたくさんいるから。
公社はどうしても頻繁に現場には行けないので、関わってくれる人が増えていくのはとてもありがたくて、Oさんはじめコミュニティーに携わる方すべてに全力感謝です。

同じ学校の友だちのように話す2人は、茶山台のコミュニティーの関係性を表しているようでした。
友人のように、ときには家族のように縁がつながっていく茶山台の人の輪。
たくさんのあたたかい人たちに支えられて、どんどん育っていくことを願っています。


1)「茶山台としょかん」
茶山台団地内で使われていなかった19棟集会所で始まった、本を介したコミュニティースペース。
団地住民はもちろん、誰もが自由に参加できる。
開館:水の13:00~17:00、金・土の10:00~17:00(12:00~13:00は閉館)
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください

2)「16棟マルシェ」
年に一度、茶山台団地16棟前で開催される団地住民主催のイベント。
2022年度で3回目を迎えた。子どもたちや住民ボランティアのパフォーマンス、パートナー事業者によるブースなど、さまざまな出し物が行われる。0縁マーケットは茶山台としょかんにて不定期に開催しているリユース品の交換会で、16棟マルシェの際にもブースとして参加している。
2022年開催時のレポート記事はこちら

3)「DIYのいえ」
茶山台団地16棟にあり、初心者でも安心してDIYの体験や相談ができるワークスペース。
あらゆる工具が揃い、誰でも無料で使用できる。DIYの達人が手取り足取りサポートしてくれる。
営業:土・日の10:00~17:00
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください

4)「やまわけキッチン」
茶山台団地21棟の1階にある、旬の食材を使った手作り惣菜が好評のお店。
物理的にも精神的にも様々なことを山分けて、関わる人みんなの幸福度を上げる地域のよりどころでもある。
営業:月・火・金・土の11:00~15:00
※営業状況など詳しくはフェイスブックでご確認ください