前回&前々回と、外出中の地震発生時の身を守る行動や徒歩帰宅について、ご紹介しました。
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今回も引き続き、外出中の地震発生時に備える持ち物ついて、防災のプロ・大阪公立大学 都市科学・防災研究センターのコーディネーターであり防災士である増田さんに教えていただきます。
自宅に備えておくべき「防災リュック」はよく聞くものの、防災リュックは日頃から持ち歩くには不向きですよね。
 そこで今回は、自宅以外にいるときに地震が起こった場合を想定し、「自助」として、備えておくと良いものをご紹介します。
目次
POINT① 100円ショップのDAISOで揃う『防災ポーチ』
外出時に地震が起こった場合に備えて、日頃から『防災ポーチ』を持ち歩きましょう。

そこで、最低限持ち歩くのにオススメ、基本の『防災ポーチ』について、ご紹介します。
 防災用品は値段が張るものが多いですが、100円ショップのDAISOで防災用品が揃いますよ。

【増田さんの私物である『防災ポーチ』の中身】
 ● 携帯用 コンパクトレインポンチョ
 ● 歯磨きシート トゥースクリーン
 ● 手指用 アルコールハンドジェル
 ● LEDワイド&スポット
 ● アルミ保温ブランケット
 ● メタルホイッスル 
 ● 防水バン(大きめの絆創膏)
 ● 携帯トイレ
 ● メッシュポーチ
これら全部、100円ショップのDAISOで購入可能。全部で990円(税込)。
手のひらに収まるサイズのコンパクトポンチョに、薄すぎて頼りないのでは?と思ったものの、このコンパクトさがポイントなのだそう。
 「かさばるものだと、普段から持ち歩くのが面倒になってしまいます。できるだけコンパクトなものがオススメです」と増田さん。
助けて!と叫び続けるのは大変です。
 ホイッスルもしくは防犯ブザーがあると、音で知らせることができるので、助けを呼ぶために備えましょう。
携帯トイレは一日当たり5回分が必要と言われていますが、普段から持ち歩くには5回分はかさばってしまいます。1回分だけでも持ち歩くようにしておくと安心です。
鞄を入れ替える際には、このポーチも一緒に入れ替えて、常に防災ポーチを持ち歩いて備えるようにしましょう。
POINT② 防災ポーチにプラスする、心強い2品
防災ポーチに加えて持ち歩くと心強い、増田さんオススメの2品をご紹介します。

まず、1品目は『モバイルバッテリー』。
災害時にスマホがバッテリー切れになっては心細いもの。
 少し重たく感じるかもしれませんが、モバイルバッテリーも持ち歩いておくと安心ですよ。
そして、2品目が『OUTDOOR TAPE(アウトドアテープ)』(外部リンク)。
 糊の老舗メーカーであるヤマト株式会社から発売されています。

よくある粘着テープ(布ガムテープ)でいいのではないかと思うかもしれませんが、防災グッズとしては一つで何役も兼ねられるものがオススメなので、OUTDOOR TAPEが役立ちます。コンパクト(横5㎝×縦7㎝)で携帯性が高い点も◎
さらに、この『OUTDOOR TAPE(アウトドアテープ)』のいいところは、ガムテープ的なテープとしての機能だけでなく、テープに書き込んで伝言メモ的にも活用できるところ。
ネオンカラーのシリーズは、油性マジックでなくとも、鉛筆や消せるボールペンでも書き込むことができます。災害時にマジックが手元にあるとは限りませんから、鉛筆やボールペンでも記入できるのはとても助かるんです。擦っても書いたものが消えにくく、安心の品質です。
ネオンカラーは目立つので、その点でも災害時にオススメですね。一般的な茶色や黒の粘着テープでは目立ちにくいですから。

そのほか、『OUTDOOR TAPE(アウトドアテープ)』は「粘着力が強いのに、手で切れる」上に、応用範囲はとても幅広いんです。
保存袋として使えるチャック付きのパッケージなので、ホコリがつきにいという利点も。
 ホコリが付きにくいことは衛生面でも大事ですね。
 怪我の応急処置として、止血や骨折時の添え木固定にも代用できます。
 ただし、衛生上の保障がされているわけではないので、傷口に直接貼ることは控え、あくまで一時的な応急処置として捉えましょう。
災害時は、飛散したガラス破片の除去にも便利で、何かと役立つと考えられますよ。
いざという時に使えない! ということがないように、厳選した防災グッズで備えましょう。
POINT③ 現金&ハンカチ

キャッシュレスの時代ですが、停電時はクレジットカードや電子決済はできません。
 現金を持っておく習慣をつけておきましょう。
 釣銭が要らないように、硬貨でも現金を準備しておくといいですね。
 総額としては、1泊ホテルに泊まれるくらいの金額を持っておくと安心です。

普段から、ハンカチを持ち歩いている方は多いと思いますが、しっかりとした生地の大きめのハンカチを持ち歩くと災害時にも役立ちますよ。
 ハンカチは「拭く」という用途のほかに、風呂敷として物を包むこともでき、包帯や止血、マスクやシートとしても使用可能。
 さらには、ハンカチに何か重いものを入れて振り回すことでハンマーとしても使用でき、非常時には用途が広がります。
POINT④ 職場に置いておく、徒歩帰宅に備える3つ
災害時、何があるかわからなので、夏場でも肌を出さない服装が好ましいです。
 職場には、ウインドブレーカーなど長袖の羽織れるものを1枚用意しておきましょう。
 雨天時のことも考え、レインコートを用意しておくのがオススメです。
そして、普段スニーカーで通勤しない方は、スニーカーも職場に用意しておきましょう。
 底の薄いスニーカーだと、鋭利なものを踏んだ時にけがをするリスクがあるので、底が厚めのスニーカーの方が安心です。
暗くなってからの移動の可能性も考え、懐中電灯もあるといいですね。
リュックなど両手が自由になるグッズで、徒歩帰宅に備えましょう。
POINT⑤ 勤務先に備えておくと良いもの

【勤務先に備えておくと良いもの】
 ● 飲料水(ペットボトル500ml)
 ● 手回し充電機能付きラジオ(スマホの充電機能があれば、なお良し)
 ● 懐中電灯 
 ● 乾電池式モバイルバッテリー
 ● 養生テープ
 ● 中身の見えない色付きのポリ袋
 ● 携帯トイレ(5回分以上)
 ● 水のいらないシャンプー
 ● 十徳ナイフ
 ● ライター
 ● ウェットティッシュ
 ● 除菌シート
 ● 現金(10円玉・100円玉)
 ● 虫よけ用品(冬場はホカロン)
 ● 汗拭きシート
 ● リップクリーム(ハンドクリームとしても代用可)
【100円ショップで揃えられるもの】
 ● ヘッドレスト付きのエア枕
 ● 電池チェンジャ― (単3電池を単2・単1に変換できるもの)
 ● 非常用ろうそく
災害時、中身の見えない色付きのポリ袋が意外と役に立ちます。ゴミなど内容物や用途によっては、中身が見えないようにしたい場合もあるので、用意しておきましょう。
市販の非常用持ち出し袋の利点は、反射板がついていることで、夜間に役立つことにあります。
 しかし、非常用持ち出し袋の形状にこだわらなくとも、両手が自由になるリュックであれば十分です。

携帯トイレの原理はオムツと同じ。
 小さいお子さんのいるご家庭や、高齢者の介護などでオムツがある場合は、ポリ袋にオムツを入れて使用すると、携帯トイレの代わりになりますよ。

人間の健康に欠かせない睡眠時についても備えておきましょう。
 避難所の固い床で寝るのは体が痛くなりがち。
 海外旅行時などに使用するネックピローやエア枕があると首が楽になりますし、厚めのヨガマットがあると体が痛くなるのを和らげることができます。
増田さんは、上記のもののほかに、寝袋を車に積載して備えているそう。
 1泊する想定で荷物をまとめ、非常用リュックを勤務先に置いておくか、通勤に使用する車に積んでおくといいですね。
今回は、基本的なものをご紹介しましたが、これらに加えて、常備薬やお薬手帳があると、なお安心です。
 女性の方はクレンジングシートなどのフェイスケア用品もあるといいかもしれませんね。
出来れば使う機会があってほしくない防災アイテムですが、有事の際に役立つように用意しておくと、心強いはずです。
 ぜひ、今回の記事を参考に、自宅以外にいるときに地震が起こった場合についての「自助」についても備えてみてくださいね。
PROFILE
増田 裕子 
 防災士
 大阪公立大学 都市科学・防災研究センター(UReC)・ コーディネーター
 新東三国地域福祉活動協議会・副会長
淀川区新東三国地域福祉活動協議会・副会長として、誰もが安心して暮らせる町づくりをめざして活動を行うとともに、防災士の資格を生かし、地域防災リーダーとして防災計画づくりなども行っている。
 普段の暮らしの延長で無理なく備える防災準備など、女性ならではの視点で届ける防災の講演は毎回大好評。
 関西各地で、講演やパラコードアクセサリーワークショップなど、防災の大切さを伝える活動を行っている。

























