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life
by ちゅう吉

団地暮らしの防災【地震】外出時の行動 ~後編~

前編では、外出中の地震発生時の身を守る行動について、場面別にご紹介しました。
▼ 団地暮らしの防災【地震】外出時の行動 ~前編~ はこちら

今回も前回に引き続き、外出中の地震発生時、揺れが治まった後の次の行動について、防災のプロ・大阪公立大学 都市科学・防災研究センターのコーディネーターであり防災士である増田さんに教えていただきます。

地震の揺れが治まったところで、次は帰宅することを考えると思います。
しかし、何より大事なことは「身の安全確保」。
無理に帰宅せず、自宅に帰らないことも、場合によっては一つの選択肢になります。
自宅に戻るのか、近くの避難場所に移動するのか、今いる場所の津波の危険性も踏まえながら、身の安全が確保できる行動をとりましょう。

POINT① 防災標識(誘導案内板)を探す

自治体によって形態が若干異なるものの、最寄りの避難できる場所や距離などが掲載されている防災標識(誘導案内板)が周辺にあるはずです。

災害時、見知らぬ土地であっても、防災標識(誘導案内板)を探すことで、安全な場所へ移動することが可能になります。

いざという時に逃げ遅れにならないよう、日頃から防災標識(誘導案内板)を意識しておくと、万一の時も見つけやすいかもしれません。

家族がバラバラの場所で地震に遭ったとしても、どこの避難場所に集まるのかを話し合っておくのもいいですね。

ここで一つ、豆知識。
避難所の標識で屋根のあるものは、避難した後、寝泊りして生活が可能な所を表します。
一方で、屋根のない標識は、避難だけで寝泊りすることはできない場所を表します。

POINT② スマホで情報収集(ニュース・災害情報)

外出時、やはり情報収集に役立つのはスマートフォン(以下、スマホ)。
スマホにラジオのアプリ『 NHKラジオ らじる★らじる 』もしくは『 radiko 』をダウンロードして、有事に備えて使い方に慣れておきましょう。

スマホで災害に関する情報を得るには、Yahoo!が使いやすくてオススメです。
Yahoo!の天気・災害のページから、防災情報を見ることができます。
現在地からの最寄りの避難場所も検索ができ、津波などの各種必要な情報が見やすくまとまっていますよ。

POINT③ 災害時に役立つLINE

LINEは災害時のホットラインとしても役立ちます。

▼ 緊急時に役立つLINEの使い方(外部サイト)
https://guide.line.me/ja/features-and-columns/emergency-tips.html

外出時、自分がどこいるのかを知らせるのに、LINEで位置情報の送信をすることも可能です。
普段から災害時の予行演習として、待ち合わせに「今ここにいるよ」と位置情報を送信して使ってみてくださいね。

POINT④ 徒歩帰宅の強い味方、災害時帰宅支援ステーション

大規模地震発生時は交通機関が機能せず、おそらく多くの方が徒歩帰宅になる可能性が高いと考えられます。

このマーク、コンビニエンスストアなどで見たことがありますか?

入り口のドア近くなど、分かりやすい場所に貼られていることが多いです。
コンビニエンスストアだけでなく、薬局や飲食店、ガソリンスタンドなどでも見かけますよ。

災害時の徒歩帰宅者を支援するために「水道水」「トイレ」「道路情報などの情報」を提供してくれる店舗になっています。

関西広域連合と協定を締結している店舗にこのステッカーが貼られていますが、必ずしも全てのコンビニエンスストア等でこのステッカーが貼られているわけではありません。
支援にかかる費用は事業者負担であるため、このステッカーは善意で帰宅支援を申し出てくれている店舗に限られています。

災害時、何も用事がなくても、団地まで帰宅する途中でこのマークを見かけたら、立ち寄って通行可能な道路情報を得るといいですよ。

駅などにあるデジタルサイネージも災害時は情報発信の場になります。
帰宅途中、デジタルサイネージなど周囲にアンテナを張る意識を頭の片隅に覚えておきましょう。

POINT⑤ 災害救済型の自動販売機

災害時でも人体にとって欠くことのできない「飲料」。
大手飲料メーカー各社が社会貢献活動の一環として、災害時に飲料を無償で提供可能な自動販売機を各所に設置していることをご存じですか?

平時は普通の自動販売機として飲料の販売をしていますが、災害時は遠隔操作やキー操作などにより、被災者などに飲料を無償で提供可能な自動販売機です。

東日本大震災時も、こうした災害対策の自動販売機による飲料提供が、帰宅難民の方々の助けとなったそう。
帰宅途中、飲料が手に入らずに困ることがあるかもしれません。そういった場合に備えて、災害救済型の自動販売機のことを覚えておくといいでしょう。

しかしながら、世の中のすべての自動販売機が、災害救済仕様のものではありません。
お住まいの地域で、通学・通勤経路で、災害救済型の自動販売機がどこに設置されているのか、万一に備えて確認してみてくださいね。

※ スマリオの団地では、団地の防災力強化の取り組みとして、災害時に飲料の無償提供が可能な「災害救援型の自動販売機」を34団地で設置しています。

POINT⑥ 団地内での注意点

無事に外出先から団地まで徒歩で帰宅できたとして、ひと安心して、気が緩みがち。
団地の敷地内でも、まだ気を抜かないでくださいね。

階段にも意外と危険が潜んでいますよ。
階段灯や電気メーターなど、頭上から物が落下してくる可能性があります。
普段から、頭上に危険なものがないか、注意してみるように習慣付けましょう。

また、階段・廊下は共用部分です。
避難時の妨げにならないよう、普段から傘などを放置せず、物を置かないようにしておくことも大切ですね。

停電時、夜間の団地の敷地内は暗く、足元が分かりづらいことも。
団地の敷地内には、側溝や段差など、足元に注意が必要な箇所が結構あります。
自宅まであと少しというところで、足を傷めないように気を付けてください。

平時に、地震が起こった時の夜間の帰宅時を想定して、団地内の歩く経路を考えておきましょう。

POINT⑥ 判断に迷ったときは本能を大切に

経験値が固定的な概念となり、有事の際には判断を鈍らせてしまうことも。
東日本大震災時は、固定的な概念によって命を落としたと考えられるケースも見られました。
子どもは大人よりも経験値が未熟な分、本能的だと言われます。子どもの本能的な意見に沿った行動が命を守る行動につながる場合があることも、頭の片隅に置いておくといいですよ。

非常時は「思考力・判断力・行動力」が鈍りがち。
迷ったときは、固定概念にとらわれずに、自らの本能に沿って命を守る行動をしてくださいね。

日頃から防災意識を持って、避難場所・避難経路の確認をしておくと、いざという時に自らの助けになると思います。

引き続き、団地暮らしの防災として、外出時の地震を想定した持ち物をご紹介します。
▼ 団地暮らしの防災【地震】外出時の持ち物  はこちら

PROFILE増田 裕子 
防災士
大阪公立大学 都市科学・防災研究センター(UReC)・ コーディネーター
新東三国地域福祉活動協議会・副会長

淀川区新東三国地域福祉活動協議会・副会長として、誰もが安心して暮らせる町づくりをめざして活動を行うとともに、防災士の資格を生かし、地域防災リーダーとして防災計画づくりなども行っている。
普段の暮らしの延長で無理なく備える防災準備など、女性ならではの視点で届ける防災の講演は毎回大好評。
関西各地で、講演やパラコードアクセサリーワークショップなど、防災の大切さを伝える活動を行っている。