公社では、団地の特性・耐震性に応じて団地の建て替えや耐震改修、住戸リノベーション等を実施しています。今回、8年ぶりとなった建て替え団地「OPH石橋テラス」(池田市)と「OPH長瀬さくらテラス」(東大阪市)が、今年の春に完成。長期にわたるプロジェクトを支えた担当者に熱い想いを聞いてみました。
Vol.1 整備推進課 高橋さん
目次
事業の初期から一貫して担当
「実は、この仕事は以前も担当したことがあったんです。」と話すのは、主に入居者の皆さんの相談窓口として対応を重ねてきた高橋さん。整備推進課は古巣であり、10年振りの再任でした。同じ業務を担当した経歴があり、安心して取りかかることができたものの「10年もたつといろいろ変わりますね…(汗)状況や仕組みに慣れる必要がありました」。と振り返ります。
建て替え説明会から、完成までの4年間に周りの担当者が次々と入れ替わる中、変わらずに関わり続けることができた高橋さん。「毎日のように現地へ足を運び、少しずつ会話を交わすことで、一 人、二人と顔を覚え、話しかけてもらえることも多くなりましたね」と、顔がほころびます。
悩みにそっと寄り添う
そんな関係を築くことは、決してたやすいことではない。高橋さんがコツコツと重ねてきたコミュニケーションのたまものです。「大勢の人が集まる説明会での質問は完成時期の確認などにとどまりますが、個別相談になると内容は本当に千差万別です。引越し費用のことや低層階への入居希望、さらには家族の話題にまで話が及ぶことも…」。たとえ、団地とは直接関係がなさそうな相談を受けても、とことん話に付き合い、細かいことでも聞き漏らさないように注意していたそう。そんな、真摯な姿勢が、皆さんのハートをつかんだに違いありません。「まるで、カウンセラーになったような気持ちでしたね。最初は、身構えていらっしゃった人でもコミュニケーションを重ねるごとに打ち解けて、さまざまな相談を持ち掛けてくれるようになり、私のことを信頼してくれているのだなと、うれしい気持ちでいっぱいになりました」。
コロナ禍ならではの苦労も
通常は、新築の完成が近づくと、モデルルームを設け、自由に見学してもらえる内覧会を実施します。今後、暮らしていく家なので思い思いに見てもらえるよう、開放するのですが、今回は事情が違っていました。「密を避けるため、時間を区切って案内し、動線にも気を配りました」。そんな時でも、信頼関係があるからこそ、皆さんが協力的で「自分では皆さんの相談に乗っているつもりでも、助けられていたのは私の方だったのかもしれない」と感じるようになったそうです。
築 60年を超える団地に子どものころからずっと暮らしてきた人もいて、いつしか以前の団地や地域の話を聞くことが楽しみになっていた高橋さん。団地が完成し、入居が完了すると、ひとまず任務は終わりますが、このときに生まれた信頼関係はきっと入居者の皆さんの心には残り、団地で暮らす安心感へとつながっていることでしょう。
▽OPH石橋テラス
▽OPH長瀬さくらテラス