以前▼ こちらの記事でご紹介したように、団地の一人暮らしは実はとってもコスパ抜群。
大阪府住宅供給公社が提供する公社賃貸住宅スマリオでは、新しく入居される方の約40パーセントが単身者の方なんです。意外でしたか?
ところが、マンションに比べてオートロックや防犯カメラといった共有設備がないことが多いため、特に女性の方からは「団地の一人暮らしは不安…」といった声をいただくことも。
そこで今回は、防犯のプロ・総合防犯設備士の齋藤さんと一緒に、香里三井C団地(寝屋川市)にある2階のお部屋へ。女性の一人暮らしを想定した、自分でできる防犯対策を教えていただきました。
「団地の一人暮らしに不安な印象もあるかもしれませんが、心配な部分にはきちんと対策ができます。逆に、実は団地には防犯面でいろんなメリットもあるんですよ!」と齋藤さん。
さっそく、お部屋をのぞいてみましょう。
目次
POINT① 窓の周辺
「こういった窓の鍵って、密閉のためであって防犯用ではないんですよね。窓を割られてしまったらすぐに中に入られてしまいます。上下もしくは上だけでも構わないので、補助錠を追加するといいですね」
実は無防備な窓に、鍵を追加するだけで安心が手に入るならお安いものです。補助錠はホームセンターなどで手軽に手に入るとのこと。一人暮らしではなくても、これは取り入れたいですね。
「よく言われていることですが、やはり女性らしいカーテンは避けた方がベター。洗濯物もできれば中で干したほうが安心です」と齋藤さん。
団地の間取りでよくある、トイレの小窓。
小さな窓でも25cm以上だと侵入できる可能性があるそうです。念のために注意を。
また、「見晴らし」も防犯の上では重要なポイントだそう。
「この部屋から、お向かいがよく見えますよね?この見晴らしの良さこそ団地の良さ。こんなに丸見えだと、不審な動きをしている人がいたらめちゃくちゃ目立ちますからね(笑)。団地は一つひとつの住棟がゆったりとした配置で建てられているのがいいところです」
周囲にたくさんの目があることは、団地全体で不審者を寄せ付けないことにもつながるんですね。だからこそ、「住民同士の声かけがめちゃくちゃ大切です」とも。
「敷地内の公園に座っている高齢者や子どもたち、階段で出会った人に『こんにちは』と一声かけるだけでもOK。“誰々がどこに住んでいる”とわかることで、何かあった時に助け合うこともできます。それだけじゃありません。不審者は必ず下見をしているので、住民同士の活発なコミュニケーションを目の当たりにすると、怖くなって寄り付けなくなります。こういった点が抑止力になって、犯罪の予防につながるんです。防犯カメラに予防することはできませんからね」
団地ならではのコミュニティーそのものが、まさに防犯対策! これには目から鱗でした。
POINT② 玄関のドア
昔ながらの玄関の鍵部分。
「よく見ると、こうしてドアよりも一枚内側に設置されているので、実は外からこじ開けるのは非常に難しいタイプ。工具をドアの隙間に入れても鍵を開けにくいんです。団地ならではのグッドポイントですね。また、ドアスコープにはカバーをつけておくだけでのぞきを防げます」
とはいえ、鍵はひとつのみ。窓と同じく、補助錠を付けてツーロックにして防犯性を高める方法をおすすめしてくれました。
工具不要で気軽に取り付けられるものも多いため、玄関の防犯対策にぜひ取り入れてみてください。
また、こうしたドアポストに差し込まれたチラシなども放置せずにきちんと家の中へ入れることが必要だそう。
「先ほどもお伝えしましたが、不審者は必ず下見をします。不在なのかな? と思わせないことが大切。外出時には、一部だけでも電気をつけたままにしておくと効果的です」
「表札周りに変化がないかどうかも、定期的に見ておいた方がいいですね。空き巣が用いるマーキングのようなもので、こうした水道やガスのシールにチェックマークをつけることがあるんです」
もしも見つけてしまったら、すぐに消すことで警戒のアピールにもなるそう。
小まめに目を配っておきたいですね。
POINT③ 団地の外側
「今回訪れてみて思ったのは、団地の周りが明るくキレイだということ。掃除や手入れが行き届いていることで、やはり不審者は下見もしづらくなりますね」と齋藤さん。
その言葉通り、マンションだと1階のすぐ目の前が駐車場…なんてことも多いですが、団地ではこうしたキレイな植栽があるのが一般的。
「実はこれはクリアゾーンというもので、脚立を置いたりして侵入できないようにするための防犯対策なんです」。
一人暮らしなら、なるべく2階以上がベターとのことですが、こうした対策がきちんと施されているのも団地の良さ。屋上には入れない構造になっているため、上からの侵入の心配もありません。
また、「オートロックがあるかどうかは、セキュリティライン=部外者を遮る境界線が変わるだけ。あるからといって安心な訳ではないんですよ」とも教えてくれました。
団地ならではの温かいコミュニティーや整った環境こそが、実は大きな防犯対策。
スマリオでは、今年度から中層タイプの団地を中心にモニター付きインターホン設置のお部屋を増やしており、さらに安心できる団地暮らしを提供しています。
この記事でご紹介した防犯対策を上手に取り入れながら、ぜひ自分らしい団地暮らしを楽しんでください。