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by D

築年が古い団地は地震が起きても大丈夫?耐震診断の結果は…

住まい選びとは切っても切れない「耐震性能」

住まいを選ぶ際の重要ポイントの一つとして、「耐震性」を心配される方も多いと思います。

日本は地震大国であり、近年では平成28(2016)年4月に発生した熊本地震は最大震度7を記録し、住宅被害は約16万棟、そのうち約8,300棟が全壊し、建物の下敷きになって亡くなられた方もいます。

また、近い将来に予測されている首都直下型地震や南海トラフ巨大地震のこともあり、住宅の耐震性能への注目度が高まっています。

「築年数が経過した団地って、ぶっちゃけ地震が起きた時どうなの?」

心配ですよね。そこで皆さんのギモンに丁寧にお答えします!

建物の耐震基準は、旧耐震基準と新耐震基準に分けられる

建物の耐震基準は、建築基準法令で定められており、建築基準法は、昭和56(1981)年に大きな改正が行われました。

このことから、昭和56年5月までに着工した住宅は「旧耐震基準」、昭和56年6月以降に着工した住宅は「新耐震基準」となっています。

旧耐震基準と新耐震基準の概要

旧耐震基準昭和56年5月までに着工した住宅中規模地震(震度5強程度)でほとんど損傷しない
新耐震基準昭和56年6月以降に着工した住宅大規模地震(震度6強~7に達する程度)で倒壊・崩壊しない

 

阪神・淡路大震災では旧耐震基準の建物に大きな被害が発生

平成7(1995)年1月の阪神・淡路大震災では、住宅・建築物の倒壊による大きな被害が見られました。

特に、現在の耐震基準に満たない昭和56年5月以前の旧耐震基準で建てられたものに大きな被害が発生しました。

▼ 阪神・淡路大震災による建築物等に係る被害(国土交通省ウェブサイト)

 

旧耐震基準で建てられた団地の耐震診断を実施。その結果は?

大阪府住宅供給公社では、旧耐震基準で建てられたスマリオ(公社賃貸住宅)について、現行の建築基準法が必要としている耐震性能を満たしているかの耐震診断を平成22(2010)年度に実施しました。

診断の結果、
壁式構造については、代表的なタイプで新耐震基準と同等の耐震性能が確保されていることを確認しました。
ラーメン構造については、新耐震基準の耐震性能に満たないものがあることが判明しました。

(参考)▼ 公社賃貸住宅の耐震化の取組みについて

 

壁式構造とラーメン構造の違い

団地は一般的に鉄筋コンクリート造(RC造)で建てられているものが多く、さらに、壁式構造とラーメン構造に大別されます。
 
壁式構造とは、その名の通り、建物の壁・床・天井で荷重を支えている構造です。
ラーメン構造とは、柱と梁で荷重を支えている構造です。ラーメンとはドイツ語で「枠」や「額縁」という意味です。

ラーメン構造の中層団地を耐震改修(公社の取り組み)

スマリオ(公社賃貸住宅)では、新耐震基準の性能に満たないラーメン構造の中層団地(4・5階建て)について、平成27(2015)年度までに全ての団地で耐震改修工事が完了しました。

工事の施工にあたっては入居者様の負担を考慮し、できるだけ部屋の中に入らずに外側から工事ができる工法を採用しています。

たとえば、工場で予め製作した鉄筋コンクリート製の柱・梁を現場で組み立て、そのコンクリート部材に力を加え、部材どうしを一体化して補強フレームを形成します。
その後、フレーム内の対角線上にPC鋼棒と呼ばれる高強度の鋼棒を設置し、既存建物と一体化することにより、耐震性能を高めています。

耐震化が完了した建物(香里三井C団地)

 

壁式構造とラーメン構造のメリット・デメリット

  • 壁式構造
    メリット

    ・部屋の中に柱や梁が出っ張ることがなく、すっきりとした空間が実現ができる

    デメリット

    ・大きな開口を取りづらく、リノベ―ションで壁を抜いて広く使ったりすることもできない
    ・高層はできない。共同住宅は通常5階まで

  • ラーメン構造
    メリット・壁を必要としないので、大きな開口をとることも可能で間取りの自由度が高い
    デメリット

    ・構造体である柱や梁が室内に出てくるため、見た目がすっきりとしない


ちなみに、ラーメン構造であれば、団地リノベーションで隣り合う2つの住戸の壁を抜いて一つにつなげることもできます。

2戸を一つにつなげる団地リノベーション「ニコイチ」

室内の壁を取り払って広い空間を実現

 

▼ スマリオ(公社賃貸住宅)の団地リノベーション・2戸を一つにつなげるニコイチ特設サイト

 

まとめ

 建物の耐震基準は、旧耐震基準(昭和56年5月以前)と新耐震基準(昭和56年6月以降)がある
 阪神・淡路大震災では、旧耐震基準の建物に大きな被害が発生

 旧耐震基準で建てられた団地の耐震診断を行った結果、 
・壁式構造の団地
→ 代表的なタイプで新耐震基準と同等の耐震性能があることを確認
・ラーメン構造の団地
→ 新耐震基準の耐震性能に満たないものがあることが判明したが、
  スマリオ(公社賃貸住宅)の中層団地は平成27年度までに耐震改修工事を完了

スマリオ(公社賃貸住宅)では、大阪府内にある約2万1千戸のうち、耐震化率は93.8%。(令和5年3月31日時点)また、新耐震基準の性能に満たない住宅は、順次耐震改修工事や建替えを進めています。

お部屋選びの基準の一つに「耐震性能」をお忘れなく。

団地暮らしの地震対策の記事はこちら
▼ 団地暮らしの防災【地震】 前編:備える
▼ 団地暮らしの防災【地震】 後編:被災後の情報収集

 

お部屋探しは、大阪府住宅供給公社のスマリオで★

 

▼ スマリオ(公社賃貸住宅)お部屋探しサイト

大阪府住宅供給公社が提供する賃貸住宅『 SMALIO(スマリオ)』は、大阪府内に約2万1千戸。
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